夏は永遠だと思えていた頃
Photo:Satoshi Kitada
氷の粒子は美しいし、夏の光を浴びて水になっていく瞬間も見ていて気持ちがいい。
放っておけば毎日食べていられるくらい好きだ。
台湾氷でもコンビニのカキ氷でもなく、できれば人の手で削られたみぞれのカキ氷がいい。
みぞれのスイという響きもいい。
音の透明感が美しい。
夏は美しい食べ物にあふれている。
カキ氷、南国の果物、露店の冷やしキュウリ。
私は鮮やかで水分をぎっしり詰め込んだものたちが大好きだ。
今年の夏はカキ氷と映画と海の記憶ばかりである。
Photo:D
映画も追い立てられるように観ていた。
エクス・マキナ、クリーピー、貞子V.S.伽倻子、インデペンデンスディ、シン・ゴジラ、秘密、後妻業の女、スーサイド・スクワッド、怒り。
映画館という空間が好きなのだと思う。自分のパーソナルスペースがはっきりしているし、観客は煩くなく、無駄な光がない。
Photo:Satoshi Kitada
秋は何をしよう。
秘密めいたことをしたい。外に出たくないだけなのだけど。
寒さは私から外出の気力を奪っていく。
それでも冬は好きだ。世界から溌剌さが薄まって、うんと内向的になる感じがする。夏の溌剌さは楽しいけれど、少し疲れる。
楽しければそれでいい。
よく出来た大人になる気なんて、さらさらないのだから。
Photo:ukei
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