FCバルセロナの贅沢な悩み
バルセロナにいる時は時間があればよく下部組織の試合を見に行くんだ。
バルサの下部組織はその年代のトップクラスの選手達を数人抱えているから、世界基準のトップレベルの選手を把握するのに良い勉強になる。
全員がズバ抜けて上手いわけでは無いが、トップクラスの選手たちは順調にその道を進む事ができたらプロになる逸材達だ。
そんな彼らでもプロになれる可能性は十分に持っているが、バルサのトップチームに上がれるかとなると話は違ってくる。
今のバルサBやユースには素晴らしい実力を持っている16歳、17歳の選手が数人いる。
他のクラブだったらとっくにトップデビューをしていてもおかしくない素質を持っている。
特にバルサBの選手は17 歳にしてスタメンで2部のプロの大人相手に毎週戦えるほどの実力を持っている。
しかし、彼らがこれだけ若くにしてトップレベルで経験を積んでも、張り合わなければいけない相手は自分のポジションにいるトップチームの選手達だ。
今のトップチームの選手の能力が衰えてきたらその代役として活躍できる日が来るだろうが、今のメンバーを見る限り年齢的にも穴が空くポジションは少ないし、その次の代役もトップチームのサブとしてその座を狙っている。
上がるためには実力だけではなく、運やタイミングが味方をしてくれないとトップには上がれず、上がれない彼らに残されている道はバルサ以外のクラブに出る事を余儀なくされている。
僕が指導したタレント集団だった年代の選手達も今やジョナタン・ドスサントスしか残っていない。(ジョルディ・アルバは例外として。)
そんなジョナタンも機会が無くレンタルに出る可能性が大だ。
バルサBはスペインリーグ2部に所属していて若手の選手達が経験を積むには最高の環境だ。
これはレアル・マドリードにも言える現状でもある。
選手が育つ最高の環境が整っていても世界最高峰のチームに上がれる壁が高すぎるが故に起こっているこのこの現状は他クラブには無い贅沢な悩みなのではないだろうか。
そんな現状からあらためて考えさせられるのは、大きな壁を乗り越えて生き残っていくシャビ、イニエスタ、そしてメッシと言った選手のレベルが出てくるのは数年に1度あるか無いかの最高の逸材だと言う事。
今後またそんな選手が出てくるのを待つのも一つの楽しみだ。