3DCGのアニメ作品を作っていて、
ふとレトロものをやってみようと思い立った。
60年代末期から70年代頭にかけて、特にフランスやイギリスで
作られた「ソフィスケイテッド・ムービー」と言われた、
一連の作品群。
例えるなら「あの胸にもういちど」「アンナ」
「バーバレラ」「キャンディ」etc..
ポップでクールでエレガント、そしてちょっと無防備で
やらかしちゃってる作品たち。
映画のカラー化で実現したカラフル世界観、
絶頂期のゲンズブールによるサウンドトラック、
ジェーン・バーキンやアンナ・カリーナ、
マリアンヌ・フェイスフルら魅惑のミューズ達。
描かれるのは反抗と愛とセックスとドラッグ、
自由、そしてその挫折。
思えば、日本のアニメの歴史にもこれらの作品、
作風に傾倒した時代があった。
いわゆる「アニメブーム」が始まる前夜の
当時のクリエーター達が目論んだ
アニメによる「世界標準の映画作品制作」。
それは「TVまんが」とアニメを揶揄した世間への
レジスタンスだったかもしれない。
例えるなら「哀しみのベラドンナ」「千夜一夜物語」
「(旧)ルパン三世(の1話と2話)」etc…
本企画は、当時トレンドだったそのマインドに
先祖返りの様に遡り、最新の3DCG技術で
リ・イマジネーションするもの。
ただ奔放だった時代のシナリオをそのまま再現すると
今の目で「未熟な感じ」に見えたり、
或いは今っぽいアレンジを加えると
「違う感じ」になってしまう。
苦労したがそのギリギリの線を突いたつもり。
どうしようもなく懐かしく、かつ誰も見た事のない作品を目指す。
幸いな事に大変有能かつ高名なスタッフがこの企画に
集結してくださっている。
(一番ヘボなの俺じゃん!みたいな笑)
タイトルは「誘拐アンナ」
架空の60年代、架空のパリまでのシュールな旅物語。
制作はスタジオ ディーン。
企画、脚本、監督は僕、佐藤懐智 。
来年暮れに完成の予定。
このブログでメイキングをお伝えします。
キャラクターデザイン原案はイラストレーターの蛯原あきらさん。