牛肉の格付制度とおいしさの関係ークローズアップ現代+1129より
牛肉の格付制度とお肉のおいしさの関係って?!
こんにちは
〜人とお肉をつなげるサイト〜Meat UP!主宰の片平梨絵です。
師走の忙しさにかまけて、すっかり更新が滞ってしまいました・・・
ついにはインフルエンザに感染!!
ようやく生き返りました・・・・。
先月出演させていただいたクローズアップ現代+
幅広く網羅したVTRを25分の収録で語るにはとても短く。
カットされてしまったことも多かったです。
その一つが、牛肉の格付制度とお肉のおいしさについて。
VTRでは、霜降り肉の黒毛和牛とは機軸の異なる、赤身肉独自の評価制度があってもよいのでは?
という趣旨の問題提起がありました。
せっかくなので、
食肉の格付について少し整理してみますと。
現在、国内で生産される牛肉、豚肉はそのほとんどが食肉卸売市場や食肉センターへ出荷され、と畜されます。
畜産農家には出荷した家畜の対価が支払われます。
そして、お肉屋さんはと畜された牛、豚の枝肉を購入し、さらに小分けにカットしたものを、外食や小売、消費者へと販売することになります。
これら一連の取引のの指標となるものが、食肉の格付制度です。
今回のVTRで紹介されたのは牛枝肉の格付制度です。。。
牛枝肉は、
①歩留等級
② 肉質等級
の2つで評価されます。
枝肉の格付はこの状態で評価されます
写真が牛枝肉です。
出荷された牛は、内臓、皮が除かれ、枝肉になります。
①歩留等級は、
「A」「B」「C」の3段階に評価されます。
*日本食肉格付協会HPより
歩留とは、端的に言うと、
1頭の枝肉から、どれくらいのお肉がとれるかということ。
お肉屋さんがこの枝肉を買い受けるときは1kg単価×枝肉の重量の分の金額を生産者に支払います。
そして、
購買した枝肉からお肉としてレストランや小売へと卸すためには、
骨を外し、余分な脂を削ってから、部分肉に製品化しなければなりません。
そのときに、
この枝肉の骨がものすごーく太かったとしたら?
この枝肉の脂がものすごーく分厚かったら?
お肉として販売できるお肉の量が少なくなってしまいますよね。
歩留等級とは、枝肉からどれくらいのお肉がとれるのか(=お肉の量)を評価する指標です!
では
②肉質等級はどのように評価するのかというと。
・脂肪交雑
・肉の色沢
・肉の締まり及びきめ
・脂肪の色沢と質
の大きく4項目で判定されます。
脂肪交雑は
ビーフ・マーブリング・スタンダード(=BMS)と呼ばれ、
BMSNo.1〜12までで評価され、No.8〜12が5等級になります。
*日本食肉格付協会HPより
肉の色沢は
ビーフ・カラー・スタンダード(BCS)と呼ばれ、
肉の色でBCSNo.1〜7で評価され、No.3〜5が5等級になります。
*日本食肉格付協会HPより
肉の締まり及びきめは
5等級で評価されます。
どんなところを見て評価するの?と疑問に思われるかもしれませんが、
枝肉によって締まり、きめの細かさは様々。
肉が水っぽいものは締まりが劣り、保水性の高い肉は締まりが良くなります。
肉の表面が粗いものは等級が下のランクになります。
*日本食肉格付協会HPより
脂肪の色沢と質は
ビーフ・ファット・スタンダード(BFS)と呼ばれ、
脂肪の色と、脂肪の光沢で評価されます。
肉の色でBFSNo.1〜7で評価され、No.1〜4が5等級になります。
*日本食肉格付協会HPより
これらの4項目について、それぞれの等級が決定すると、
その中で、最も低かった項目の等級が、枝肉の肉質等級として採用されます。
例えば、
脂肪交雑が4等級
肉の色沢が4等級
肉の締まり及びきめが3等級
脂肪の色沢と質が4等級だった場合は、
この枝肉の肉質等級は3等級になるわけです。
最終的に、肉質等級と歩留等級とで、等級表示が決定します。
*日本食肉格付協会HPより
ここまで、枝肉の格付の評価方法についてみてきました。
A5が最上位ランクで価格も高くなります。
が、、こうした肉質等級は、あくまで取引価格の指標として格付されるものです。
お肉の量を評価した歩留等級。
AでもBでもCでも、食べる立場からすると、あまり関係のない基準といえます。
肉質等級もどうでしょうか。
あくまで肉眼のの基準で、食味評価ではないですね。
もちろん、肉の締まり、きめなどは食感などにも大きく影響しますし、味に関係ないとはいえません。
ただ、もともと霜降りの少ない短角牛やあか牛など、赤身が特徴の枝肉を評価するとしたら??
ほとんどサシがない枝肉の等級はマーブリングがないので、2等級など低く格付されてしまう。
では、それはよくないお肉でしょうか???
当然、そんなことはないわけで。
あか牛も短角牛も、赤身の美味しさはある。
それを、「美味しくない牛」だとしてしまうのは、もったいないですね。
そんなことを、クローズアップ現代+の佐藤ディレクターは伝えたかったのだろうな。
と思います。
そもそも、取引する際の基準のためにある枝肉の格付制度。
霜降り信仰が強かった日本のマーケットでは、格付の評価イコール「良い肉」と訴求することは、
ある意味正しかったのかもしれません。
ですが、いまは消費者のお肉の選び方、楽しみ方も多様化しています。
これからは、「格付が良い肉が素晴らしい肉」、「A5が最上の肉だ!」と
安易に訴求するだけの売り方は、通じなくなるように思います。
食肉市場などでの取引は格付がベースになるため、
赤身のお肉は格付が低く、取引価格も伸び悩む傾向にありましたが、
価値を伝えるという意味で、「どう販売するのか」(どう伝えるのか)がとても大事。
生産者も「赤身ブームだから」ということだけでなく、
自らが手掛ける牛の価値はどんなところにあるのか、どんな点が素晴らしいのか。
しっかり磨き込んだ上で、販売する時代になったといえます。
主宰:片平梨絵