お父さん。
父が亡くなっていた、らしい。
番場順。バイオリン職人。
私が3歳の時に離婚していて、次に再会したのは18歳でした。
離婚時、私を引き取ると言っていたよう
で、
別れたあともこっそり、私を見に来てくれ
ていたようです。
18歳の時に再会することになったのは、
私が自分から連絡したからでした。
電話の向こうで、「理恵?」と言った父の
声、
新幹線で東京のホームに着いた時に窓から見えた大勢の人の中からすぐにお互いを瞬時に見つけたあの感覚、今でも鮮明に覚え
ています。
フランス料理のフルコースを食べて、二人
で手を繋いで銀座を歩いて。
父には複雑な思いも確かにずっとあって、
去年、母と父が住んでいたアパートを見に
行ったりして、
さらにこの1週間は何故か父のことを考えたりして、自分の中で理解と整理をしてい
たのも
偶然ではなかったのかなと思ったり。
妹から先程電話があり、
「お父さん亡くなったみたいよ、裁判所か
ら通知が来てる」
最後に会ったのは、妹の結婚報告で、息子
も会わせられた7年前でした。
何の感情かはわかりません。
久しぶりに声を上げて泣きました。
私は本当はお父さんが大好きだった。本当
はものすごく大好きだった。
1本の木から、美しい音色を奏でるバイオリンを作っていたお父さんのDNAを持って
いることを誇りに思うよ。
お父さん、ありがとね。