感動したノンフィクション
何気なく見たテレビ番組表は、特別番組や再放送ばかり。年の瀬を感じますね。
今日あたりは大掃除に忙しい方が多いのでしょう。我が家は11月に秋の大掃除を終えていますが、年末ですので今日の午前中を使ってちょっと丁寧な掃除をしていました。毎日の掃除に加えて、床の拭き掃除をしたり、台所の排水口を磨いたりした程度です。
やはり大掃除をして一ヶ月を過ぎますと、どうしても汚れる個所が出てきます。明日は今年最後の買い物に出かけて、午後からは簡単に窓拭きでもして新年を迎えようと思っています。
さて先ほど読了した本の紹介です。珍しくノンフィクションの作品でした。
『理系の子 高校生科学オリンピックの青春』ジョディ・ダットン著 という本です。
原題は『Science Fair Season』ですが、日本向けにこうしたタイトルになったのだと思います。せっかく素晴らしい本なのに、この邦題はちょっと残念に思いました。私は「理系」「文系」という分類を好ましく思っていません。人間を特定の基準によって方向づけすることは間違っていると思います。
私自身、高校生のときは俗に言う「文系」人間でした。私学の外国語大学を受験先に選んだのは、数学や物理を勉強する必要がないからです。ところが大学を中退して受験したのは畜産学科。だから必死で生物や化学を勉強し直しました。
ところが真剣に勉強すると楽しくて仕方ありません。学校に入学してからも、最も楽しかったのが実験科目でした。卒業論文はヤギの染色体モデルの研究でしたが、血液細胞を培養して染色体の標本を作るのにワクワクしていました。自分のなかに「理系」の血が存在するのを目の当たりにしたのです。人間の可能性を簡単に分類することの愚かさを実感しました。
さてこの本の内容ですが、インテル国際学生科学フェア(ISEF)2009に出場した高校生たちを追いかけたドキュメントです。アメリカの各州で開催されるサイエンス・フェアで勝ち抜いてきた優秀な生徒に加えて、外国からの参加者もある「サイエンス・フェアのスーパーボール」と呼ばれている大きな大会です。学生による科学のオリンピックですね。
とにかく多彩な人物が登場します。14歳で核融合炉を作った少年。ハンセン病を患いながらも、世間の間違った偏見を取り除くためフェアに挑戦する女性。女優の仕事をしながらも、ミツバチの蜂群崩壊症候群の研究に魅了された女性。動物と心を通い合わせることができる女子高生が、ひどい事件で心を病んだ警察官を癒すために開発した「ホース・セラピー」等。
とにかく驚くような人物の姿がノンフィクションとして描かれています。でも決して特別な子供たちではありません。ただ何かに心を動かされた時、それを諦めずに追求する姿勢を失うことのない人たちばかりでした。
さらに彼らの実験を後押ししたのが、高額な奨学金です。大学で学ぶことを経済的に諦めなくてはいけない家庭事情の子供が大勢いました。そうした子供たちが、大学に進学するための資金を得ようと必死になっています。一人ひとりが抱えた人生の物語を読んで、何度も涙が止まりませんでした。
とても素晴らしい本でした。機会があれば読まれることをお勧めします。私のような年齢の人間でも、よし気合をいれるぞ!という気持ちにさせてくれる本でした。このような子供たちが増えることで、地球は大きく変化していくように思います。
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