数学者たちの闘い
冬型が緩んで、今年初めて穏やかな気候になりました。普段と同じように買い物と散歩にでかけたのですが、２日前に比べると南国に来たような気温でした。ちょっと言い過ぎかなぁ〜
Uターンラッシュのニュースが報道されていますが、我が家の地元は何となくまだお正月モードです。帰省している人が多いのか、普段より人口密度が低いようです。スーパーも空いていましたし、出歩いている人も少ないように感じました。
さて、メチャメチャ面白い本を本日読了しました。
『フェルマーの最終定理—ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで』サイモン・シン著 という本です。
「フェルマーの最終定理」という名を聞かれたことがある方は多いと思います。私も名前だけは知っていました。
〈3 以上の自然数n について、xn + yn = zn となる 0 でない自然数 (x, y, z) の組が存在しない〉 という定理です。
このnが２乗ですと、中学校で習う「ピュタゴラスの定理」ですね。直角三角形の斜辺の２乗は、底辺の２乗と高さの２乗を足したものであるという定理です。
この「ピュタゴラスの定理」を基にして、17世紀の数学者ピエール・ド・フェルマーという人物が、３乗以上ではこの方程式を満たす解が存在しないと言ったのです。
フェルマーは「俺はその証明もできるねん。でも教えてやらへんから、お前たちで考えてみたらどうや〜！」と言ってこの世を去りました
以来350年、様々な数学者がこの定理の証明に挑戦しましたが、ことごとく失敗してきたのです。中学生レベルの数学の知識があれば、意味がわかる定理ですね。それなのに、誰も証明することができませんでした。
その「フェルマーの最終定理」を、1993年にアンドリュー・ワイルズというイギリスの数学者が証明に成功したのです！この本は古代ギリシャのピュタゴラスから現代のワイルズまでの苦闘の歴史を、ドキュメント風に書かれた内容です。
サイモン・シンという方は素晴らしいライターですね。難解な数式を極力使うことなく、その定理が解かれるまでの歴史を解説されています。私のように数学が苦手だった人間でも、読み始めると止まらなくなりました。数学って何て面白いものだろうと、改めて勉強したくなったのが本音です。
証明に成功した論文が読めるわけではありませんが、それがどのようなもので、どのようにして証明されたかは理解できました。ワイルズという天才ひとりの成果ではなく、数え切れないほど大勢の数学者たちの苦労が結実したものです。
特にその重要な鍵を握っていたのが、日本人の数学者が発表した「谷山＝志村予想」という理論なのです。様々な歴史の出来事に翻弄されながら、ようやく証明が完成されたシーンを読んだ時、胸に熱いものがこみ上げてきました。
ワイルズは一度発表した論文に致命的なミスが見つかり、それから苦労してその解決に心血を注ぎました。その熱いハートが、サイモンの素晴らしい文章によって読者に訴えかけてくるのだと思います。
数学をテーマにした本で、これほど夢中になるとは思いませんでした。数学というジャンルを超えて、自分の心に目に見えない強い動機を喚起させてくれる素敵な本だと思います。数学嫌いの子供さんにとって、人生を変える本になるかもしれませんよ〜
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