見せかけと本当の愛
朝から強い雨が降る神戸です。全国的に雨のようですね。夕方になっても激しい雨が続いています。
今日は妻が友人と遊びに行きましたので、駅まで見送ったあと一人で買い物に行ってきました。図書館で本を借りて、TSUTAYAで映画を物色。それからCoCo壱番屋でカレーを食べて、タリーズでコーヒータイム。そしてスーパーに寄って家に戻りました。
TSUTAYAに寄ったのは、昨日読了した小説の映画を借りるのが主たる目的でした。『モンスター』百田尚樹 著という本です。
かなりショッキングな小説でした。ちょっと現実にはないかもと思いながらも、一気に1日で読了しました。主人公の女性は奇形的な醜さで生まれ、高校生まで言葉で言い尽くせないほどのいじめに遭います。高校時代のある事件がきっかけで親にも縁を切られ、地元を追い出されて東京の短大を卒業します。その主人公が風俗で資金を得ながら、考えられないような美容整形を重ねて、誰もが振り向く美女となって地元で復讐するというストーリーです。
本当の目的は復讐だけではなかったのですが、エンディングはちょっと納得のいかない終わり方でした。でも主人公の美にかける執念と圧倒的な努力は、賞賛に値する凄まじさでした。狂気にかられた主人公が語り手ですから、感情移入できない部分もあります。でも映画になっているのを知ったので、映像でどのように表現されているか見たかったのです。
ところがそのDVDが見つかりませんでした。R15指定されているので、どこか別の棚にあったのかな? 残念ですが諦めて他の映画を借りてきました。そして午後からそのうちの1本を見たのですが、感動のあまりしばらく呆然とするような映画でした。思い出すだけで、また涙が止まらなくなりそうなほど感動しました。
『チョコレートドーナツ』という映画です。現代は『Any Day Now』です。
1970年代末期のカリフォルニアが舞台なのですが、同じ時期にニューヨークのブルックリンであった実話をもとに作られた映画だそうです。
主人公の一人はルディというゲイの男性です。ゲイのショーパブのダンサーでるルディは、もう一人の主人公である弁護士のポールとカップルになります。同性愛者ですが、本当に素敵な二人なのです。
貧しい人ばかりが住むアパートに暮らすルディは、隣人の母子家庭の一人息子であるマルコに出会います。マルコはダウン症です。母親は薬物依存症で、子供を育てる能力がありません。ある日母親は逮捕されて、マルコは施設送りにされることになりました。
ルディは障害を持つマルコが施設で幸せに暮らせるとは思えず、恋人のポールに依頼して刑務所にいる母親からマルコを預かる書類にサインをもらうことに成功します。そして同性愛者の両親とマルコでの、幸せな生活が始まったのです。
二人の男性の両親から無条件の愛情を受けたマルコは、教師が驚くほどの明るさを取り戻し学業も進歩してきます。ところが時代はまだ70年代だったのです……。
同性愛者に対する偏見と差別は、現代では予想できない酷いものです。他のどんな両親と比べても負けない愛情でマルコを育ている二人ですが、やがてそうした偏見と差別に苦しめられることになります。同性愛者と障害者。マイノリティーだけれども幸せいっぱいの家族の生活を、偏見によってぶち壊そうとする人たちが現れてきます。
そのような偏見に囚われた人が口に出すのは、見せかけだけの愛です。同性愛者と一緒に暮らすことの弊害ばかりを唱え、このままではマルコが不幸になるという偽善で塗り固められた言葉を吐きます。これほどマルコを本当に愛している人間は、二人をおいてこの世界にいないにも関わらず……。
結末はあえて書きませんね。なぜなら一人でも大勢の人に観てほしい映画だからです。ここ数年では、私にとってのナンバー1となる素晴らしい映画でした。本当の愛とはどういうものか。そのことを教えてくれる映画です。
それにしてもルディを演じたアラン・カミングは、こんなに素晴らしい俳優さんだっとは。恋人のポールを、そしてダウン症のマルコを心から愛しているのが、映画の全編を通して強烈に伝わってきます。いろいろな映画で時々見かける俳優さんなのですが、この映画の演技は最高です。結局『モンスター』を見つけられなくてよかったと思います。この映画に出会うためだったのですね!
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