冤罪
今日はゴールデンウイーク最終日。天気に恵まれて良かったですね。
私は相変わらず、いつもと同じように買い物&散歩です。
それでもこの写真のように気持ちのいい天気ですから、とても快適な散歩でした。風薫る五月という通り、この時期の風は最高です。適度に乾燥していて、暑くもなく寒くもない。木陰にいると、いつまでもそこに佇んでいたくなります。それでも今日は立夏。暦では夏ですね。
どこも混雑しているんだろうなぁ。休日は家族サービスで人ゴミに揉まれ、平日になると満員電車で通勤。そんなお父さんやお母さんに、頭が下がります。
私が満員電車に乗る時、いつも心がけていたことがあります。それはつり革や手すりに、必ず両手でつかまることです。なぜかって?
両手を出していたら、痴漢に間違われることがないからですよ〜〜!
痴漢は卑劣な犯罪です。虫酸が走るほど嫌いです。でも、痴漢に間違われるのはもっと嫌です。もしたまたまリアル痴漢の近くにいて、うっかり間違われたら大変です。満員電車で自分が痴漢だと名指しされた時に、違うと証明したり、他の人を犯人として指摘することは困難です。駅のホームに連れ出されて、しなくてもいい弁明を必死にしなくてはいけません。実際、過去に冤罪もあったそうですからね。
私は死刑制度に反対です。凶悪な犯罪を許すことはできませんが、人間が人間を裁いて「死」を決定する野蛮な発想を支持しません。確かに被害者の家族たちの気持ちを思うと複雑なものを感じます。しかし、死刑が凶悪犯罪の抑止力になるとは思えないからです。
他人の命を奪おうとするのは、殺すことに何も罪悪感を持たない狂人か、怒りや憎しみの感情に翻弄されている状態の人間です。そのような常軌を逸している意識状態で、死刑が頭にちらついて犯行をやめるとは思えません。そこまで冷静に考えられるなら、人の命を奪おうとはしないでしょう。
ましてや冤罪という問題があります。死刑が確定していた人に、再審で無罪を言い渡されたことが何度もあります。ということは、過去には冤罪のまま死刑が執行された人もいるのではないでしょうか? 日本の法律から、死刑制度が無くなることを私は願っています。さてその「冤罪」をテーマにした小説を読みました。
『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎 著という本です。
伊坂さんの代表作と呼ばれている作品です。本屋大賞と山本周五郎賞を受賞されています。確かに受賞が頷ける、素晴らしい作品でした。過去と未来が交錯して、仕組まれた伏線が物語を思いもよらない方向に導いていきます。登場人物たちの強烈な個性が、さらに物語を輝かせています。
主人公は青柳雅春という元宅配ドライバーです。地元の仙台でパレードをしていた首相が暗殺されます。ラジコンヘリを使った爆弾です。今ならドローンですよね。その犯人として青柳が警察に手配されます。それはあのケネディ暗殺事件のオズワルドを彷彿とさせます。
伊坂さんも最後に書かれていましたが、この物語はケネディ暗殺事件を参考にされたそうです。今ではオズワルドが犯人だと思っている人はいませんよね。その真相は闇に葬られていますが……。
この小説も、首相の暗殺に関わっているのは巨大な陰謀を持つ存在です。個人では太刀打ちできない「大物」です。もちろんケネディ暗殺事件と同じで、その実行者が誰なのかは不明のままです。濡れ衣を着せられた青柳が、ひたすら逃亡する物語です。それを助けるのは、学生時代にサークルで過ごした仲間たちでした。
『ゴールデンスランバー』というタイトルを聞かれた方で、私の世代の洋楽ファンならすぐにビートルズの曲だとわかるはずです。『アビイロード』というアルバムの後半のメドレーで登場する曲です。私が一昨年のポール・マッカートニーのライブに行った時も、この曲が演奏されています。今年のライブでも当然演奏されたでしょう。
解散するしかないビートルズのメンバーたちに対して、もう一度昔のように音楽をやろうよ、というポールの切実な思いが託された曲です。各メンバーによってバラバラに録音された音源を、ひとりスタジオにこもって編集しているポールの寂しげな表情が浮かぶメドレーです。私の大好きなアルバムです。
社会人になって違った道を歩いていた仲間たちが、首相暗殺事件によって昔の繋がりを取り戻す物語です。そして実態の見えない強敵に対して、反感を持つ人々が力を貸してくれます。エンディングを読み終わった時、思わず涙がこぼれました。
読まれたことのない方は、おすすめですよ。映画にもなっているようですので、レンタルショップに探しに行こうと思っています。
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