全てにおいて、切ない
天気が下り坂なのは知っていたのですが、今朝起きてビックリ! 世界が消えていました……。
もしかして体外離脱の世界かも、と疑いたくなるほどの異様な景色です。
今朝のバルコニーから撮影した写真です。実はこれでもまだ見えるようになった状態です。朝起きて妻が声をかけてくれた時は、全く視界ゼロでした。
低気圧が近づくと我が家ではよく見られる現象でして、完全に雲の中に入ってしまいます。それだけ山沿いに住んでいるということですね。今日は雨の中の外出を覚悟しました。
家を出る時は小雨が降っていましたが、帰り道は傘をささずに戻ってくることができました。ちょっと重い荷物があったので助かりました。スーパー等があるJRの駅周辺は視界良好です。六甲山に雲がかかっているなぁ、という程度です。
でも最寄りのバス停について降りたとたん、またこの雲に覆われました。どんだけ山奥やねん、と一人ツッコミしたくなるほどです
まだ雲は多いですが、雨はあがって視界が広がってきました。夕食時には、九州行きのフェリーの出航をいつも通り見ることができそうです。
さて、昨晩読了した本です。
『真夏の方程式』東野圭吾 著という本です。
私が東野さんの名前を初めて意識した作品です。物理学者の湯川准教授が活躍する、ガリレオシリーズの代表作ですね。映画の予告編をよく目にしたので、湯川役を演じている福山雅治さんの姿が強く印象に残っています。
私が読了した3冊目のガリレオシリーズですが、他の作品と甲乙つけがたいほど素晴らしい内容でした。ただし、切ない。本当に切ない。物語の結末を知るにつれて、全てにおいて切ないと感じた作品です。
推理小説ですから人が死にます。この湯川シリーズはトリックが巧妙でして、そのトリックが解明されていく楽しさがあります。湯川と関わる警視庁の草薙刑事と内海刑事のキャラも楽しみの一つです。ところが、その全てがいつもと違うのです。
湯川は海底鉱物資源開発をする会社の物理学的アドバイザーとして、琉璃ケ浦という海の美しい場所に向かいます。そして宿泊した旅館で事件に遭遇します。被害者は警視庁の元刑事でしたから、草薙と内海は東京で捜査します。だから私が楽しみにしている、女性刑事の内海と湯川のやり取りがほとんとありません。
その代わりと言ってはなんですが、その旅館である少年と出会います。旅館の主人の甥っ子です。両親が仕事で忙しい少年は、夏休みにその旅館で預かってもらっていたのです。湯川と恭平という二人のやり取りは、いつものパターンと違ってとても面白かったです。
しかし通常の推理小説と違うのは、事件の詳細が明らかであるにも関わらず、真犯人として検挙できないという結末です。瑠璃ケ浦の事件は事故として処理され、その事件の発端となった16年前の殺人事件は、真犯人をかばった人間が冤罪のまま刑期を終えます。
旅館を経営する夫婦、そして30歳の娘。さらに甥っ子である小学5年生の恭平までが事件に関わることになります。事実が明らかであるのに、それを公にできない切ない事情があります。その事情が納得できるものであるだけに、読者としての切なさはさらに募ります。
映画化されている小説を立て続けに読んでいますので、私にしては珍しく観たい邦画がたまっています。今の仕事が落ち着いたら、TSUTAYAに行って少しずつ借りようと思っています。原作と映画の違いを見るのも楽しいですからね。
ちなみにこの作品の映画では、内海が別の名前の女性刑事になっています。俳優さん側の事情かな。ちょっと残念。
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