ピュアな愛に涙があふれた
暴風が吹き荒れる部屋でブログを書いています。台風11号の強風圏に入った神戸は、昨晩から風の唸り声に包まれています。窓を閉めると暑くて、開けると風の音がうるさい。そんな状態でしたので、何となく寝不足の今日です。
でも雨はまだ降っていません。現在は午後4時前ですが、間もなく降り始めるでしょう。朝から自宅に引きこもって仕事をしていますが、マンションの窓は全開にしています。家の中は暴風警報が発令中です。でも風が大好きなので、気持ちいい!まるで嵐で遭難した山小屋で救助を待っているようだね、と妻と大笑いしています。あっ、ついに雨が降ってきました。
昨日はこんなにいい天気だったのですけれどね。この写真はJRの駅前です。奥に見えているバスに乗って、いつも自宅近くまで帰ります。
この台風で心配なのは、京都の祇園祭です。今日は宵山で、明日は山鉾巡行です。ちょうど台風とかちあってしまいましたね。京都の祇園で働いている頃は、妻と仕事帰りに祇園祭によく行きました。午後6時ちょうどに四条通りが歩行者天国になるので、それまで高島屋で涼んでいるのです。そして6時になったら、祇園囃子を求めて歩き出します。
でも、今日はそれどころじゃありませんね。露天も大変だろうなぁ。私も24日に行われる花傘巡行に舞子さんを連れて参加していましたから、主催者側の気持ちがよく分かります。関係者はやきもきしているだろうなぁ。今夜から明日にかけては大荒れになりそうです。
さて、昨晩読了した本です。
『いまこの瞬間愛しているということ』辻仁成 著という本です。
気障なタイトルですが、不覚にもまたまた号泣してしまいました。どうも辻さんの作品は、私の琴線を揺さぶるようです。突然声をあげて泣き出したら妻に変に思われるかと、声を殺して泣いていました。ハッピーエンドではない物語なのですが、ハッピーエンドだと感じてしまう。それほどピュアな愛が描かれています。
物語の舞台はフランスのレストランです。登場人物たちはシェフです。だから就寝前にこの本を読むと、お腹が「グウ〜〜」と鳴ります。この本を読んで、ミシュランの三つ星を取ることがどれほど大変なことなのか知りました。
若き天才料理人のジェロームと日本人シェフであるハナの恋愛ストーリーです。彗星のごとく現れたジェロームは総料理長として、『ル・プランス』というレストランを1年で二つ星にしました。そして最年少記録で翌年には三つ星を取るであろうと期待されています。
一方ハナは、女性で三つ星シェフになることが夢です。女性で三つ星を取った人はいません。ましてやフランスで差別的待遇を受ける日本人が星を取るなどとは夢のまた夢です。でもそれが可能だと思われるほどの才能を持っていました。ハナは三つ星を狙う『ル・プランス』で魚料理部門の責任者となります。
いろいろな出来事があるのですが、二人は恋愛関係になります。しかしハナはSEDSという病気を発症します。著者が創作した病気ですね。突然味覚が消失します。料理人にとって致命的ですね。それだけでなく嗅覚や聴覚等の五感が消えていきます。長い時間をかけて。
さらに感情も消えてしまうのです。悲しくても涙が出ない。嬉しくても微笑むことができないのです。そして最後には空腹を感じることもなくなり、この世を去っていくという恐ろしい病気でした。
三つ星確実だと思われていたジェロームですが、恋人のハナの発病により星を取り損ねます。しかしそのことがきっかけとなって、新たな料理の境地に至るのです。悲劇なのでハナは逝ってしまいます。でもジェロームはその愛を貫き通して、三つ星を獲得します。
その後のジェロームのピュアな愛を、こうしてブログを書きながら思い出しているだけで涙が出てきます。最後に、大好きはハナのセリフを書かせてもらいます。日本人の料理評論家との会話です。全てを奪われるという病に冒されながらも、そこに光を見つけようとするハナの生の輝きが表現されています。
「感覚や気持ちが鋭敏だった頃には想像もできないほどに、わたしは現実の中にある美しい光を見ることができているんです。先生、味覚や喜びの感情を失ったとしても、人間にはなくならないものがあるんですね。表情には出せないけれど、私というたった一人の人間の、魂や存在は決して失われてはいない、ということ。いかなるものも私から人間的な自由を奪うことはできないのです。光そのものを感じることが出来なくとも、わたしには、ただ光の中にいることができるという喜びがあるのです」
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