圧政と戦う妻を支えた夫
関東地方は梅雨明けしたようですね。近畿はまだ梅雨? 夜中には雨が降っていましたが、今はうっすらと青空が広がっています。風が爽やかで、とても過ごしやすい1日でした。
昨日撮影した写真です。この涼し気な雰囲気がぴったりな今日の神戸でした。
個人的には強烈に暑くなった先週に梅雨明けしていると思います。だって梅雨前線は、はるか北に移動していましたからね。そのうち近畿も梅雨明け宣言されるでしょう。
ずっと取り掛かっていた仕事がひと段落して、今日からは次の仕事にかかっています。少しホッとしたので、映画を観る時間を増やそうと思っています。原作を読んだので見たい邦画が溜まっていますが、とりあえず自宅のDVDレコーダーの録画から消化しています。今日の午後に観た映画です。
『The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛』という2011年のフランスとイギリスの合作映画です。監督はリュック・ベンソンです。数々の名作を残した監督ですね。最近では『ルーシー』というスカヨハの映画が心に残っています。
タイトルにある通り、ミャンマーの民主化を支えてきたアウンサンスーチーさんの半生を描いた映画です。気になっていたのですが、見逃していた映画です。2時間があっという間に感じるほど、素晴らしい映画でした。
こうした世界的な実話を描いた映画は、私は好きでよく観ています。代表的なところでは、『ガンジー』や『マザーテレサ』等の映画は何度も観ました。南アフリカのアパルトヘイトを描いた『遠い夜明け』という映画も強烈に印象に残っています。カンボジアの内戦を主題にした『キリング・フィールド』という映画も強く心に残る映画です。この映画もそれらの作品に並ぶような映画でした。
ただそれまでの映画と違って、スーチーさんとその家族に焦点が当てられていたので興味深く感じました。スーチーさんの夫はイギリス人です。スーチーさん本人も、夫と二人の息子との家族4人で、イギリスで幸せな家庭を築いておられました。ところがスーチーさんの母親が病に倒れることになります。
祖国に向かったスーチーさんを待ち受けていたのは、民主化を望む学生を虐殺した軍事政権でした。結局、それ以来イギリスに戻ることがなかったのですよね。それどころか軟禁されてしまうわけですから、ミャンマーを出ることさえできません。
軍事政権は何度もスーチーさんをイギリスに追いやろうとします。しかし彼女は祖国の仲間たちを見捨てるわけにはいきません。必然的に家族は引き割かれてしまうわけです。でも、最初のうちは夫も息子二人もミャンマーを訪れていました。しかし、それさえも不可能になっていきます。
ミャンマー政府は夫の入国ビザを発行しません。子供たち二人の市民権も剥奪してしまいました。それでも民主化運動をやめないスーチーさんに、命の危険が迫ります。そのとき夫のマイケルが奔走しました。ノーベル平和賞を妻に授けるためです。各機関に働きかけて、必死で運動しました。
世界に関心を持たせることで、ミャンマー政府が妻を殺せないようにしようとしたのですね。妻そして母であるスーチーさんに力を尽くす、イギリスに残された家族たちの姿が素敵な映画でした。でもマイケルは病魔に冒されます。前立腺癌でした。スーチーさんは何度もイギリスに出国しようかと葛藤します。しかし一度出国すれば、二度とミャンマーに入国することはできません。夫の最後を看取ることもできず、孤独の中で泣き崩れる姿が心に焼き付いています。
スーチーさんを演じたのは、ミシェール・ヨーという女優さんです。素晴らしい演技でした。『007トゥモロー・ネバー・ダイ』がハリウッドデビュー作ですね。あのウェイ・リンという役は、今でもはっきり記憶に残っています。久しぶりに彼女の演技を見ることができました。
そして夫のマイケルを演じたのは、デヴィット・シューリスです。この名前を知らなくてもハリーポッターシリーズのリーマス・ルーピン役と言えば分かるでしょうね。ハリーの父親の親友役で、ハリーにとってはホグワーツの教師だった人物ですね。
ミャンマーもようやく民主化の道を歩んでいます。スーチーさんの犠牲なしには成し得なかったことです。そしてその陰には、命をかけて妻を支えた夫の愛がありました。スーチーさん本人にスポットライトが当たるのは仕方ないですが、彼女にとって家族がどれだけ大切だったのかを感じることができる映画でした。
話は変わりますが、昨日のブログで書いた『最後の授業』を昨晩YouTubeで見ました。素晴らしい講義でした。サプライズで妻の誕生日ケーキが用意されています。妻が壇上に上がって夫にキスをするのですが、映像ではそれしかわかりません。でも本に書いてありましたが、そのとき妻はこう言ったそうです。
「あなた、死なないで……」
無理だと分かっていても、自分の最後の誕生日を祝ってくれた夫への言葉だったのでしょう。それを知っていたので号泣してしまいました。
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