親である方に、知ってほしい
秋雨前線の影響で雨の予報でしたが、神戸は終日曇り空でした。今日のように自宅にいるときに雨が降ってくれたら助かるのですが、外出する明日の予報は雨。でも涼しい雨になりそうですから、明日は秋を感じることができそうです。
昨日の散歩中に出会った蝶です。なぜ撮影したかと言いますと、めちゃ可愛かったのです。動画でないのでわかりませんが、夢中になって自分の顔のお手入れをしていました。もう少し私のハートが開いていたら、会話できそうでした。
言葉は通じなくても、同じ地球に生まれた生き物どうしです。「想い」のやり取りくらいならできるはずです。可愛いね、と声をかけてあげるだけで、何かが伝わると思っています。ましてや言葉が通じる人間どうしなら、もっとその「想い」を的確に伝えることができるはずです。
でもそれがうまくいかないことで、多くの悲劇が起きています。特に子供に対する親の接し方しだいで、そうした悲劇の原因となることを教えられた本があります。昨晩読了した本です。
『殺人者はいかに誕生したか 「十大凶悪事件」を獄中対話で読み解く』長谷川博一 著という本です。
恐ろしいタイトルですね。私がこの本を読もうと思った動機は、小説を書く勉強のためです。殺人者と呼ばれる人が、どのような心理状態で犯行に及んだのかを知りたかったからです。ところがそこに書かれていた世界は、私の安易な予想をはるかに超えるものでした。
この本で取り上げられている殺人者の一部を紹介します。
大阪池田小学校事件 宅間守。
連続幼女誘拐殺人事件 宮崎勤。
秋田連続児童殺害事件 畠山鈴香。
奈良女児殺害事件 小林薫。
秋葉原無差別殺傷事件 加藤智大。
どうでしょう。半分の5人ですが、聞いたことのある名前ばかりですね。そして事件の詳細は、報道で何度も見たり聞いたりされているはずです。
著者の長谷川さんは臨床心理士です。そしてこの本は机上で書かれてものではなく、一部の加害者を除いて、実際に面会された結果に基づいて書かれています。裁判官の依頼で精神鑑定として面会された場合もありますが、著者の意思で面会を申請して直接に会われたケースがほとんどです。
その目的は、なぜその犯罪が起きたのか、その根本的な原因を追求するためです。そして同じ悲劇を二度と起こさないために、その理由を社会に知ってもらうことでした。なぜなら裁判は加害者の量刑を決定することが目的であって、その原因となった心理を明らかにする場所ではないからです。それでは事件の本当の原因が闇に葬られたままであり、再び同様の犯罪が起きてしまいます。このような悲劇を防ぎたい、その一念で著者は行動を起こされました。
この本に書かれた10の犯罪は、とても恐ろしいものばかりです。被害者や遺族の気持ちを思うと、どのような理由があろうとも容認できるものではないでしょう。そしてそれは事実だと思います。私も極刑は致し方ないと思います。死刑制度には反対ですが。
でも、私はこの本を読んで泣きました。加害者たちの実態を知って、心が痛くなりました。著者の長谷川さんは加害者の手記や言葉だけでなく、科学的な手法で心理鑑定を実施されています。さらに加害者の家族や被害者等にも会い、その裏づけを取られています。私がなぜ泣いたのか……。そこにはこの10人全てに共通する出来事があったからです。
それは目を背けたくなるような、親による虐待でした。
それらの親の虐待は様々でした。直接的な暴力もあれば、性的虐待もあります。さらに著者が「きれいな虐待」と呼んでいる、見た目は虐待の顔を持たない心の支配という虐待もありました。言葉や態度だけでも、幼い子供に暴力的な虐待と同じ効果を与えてしまうことができるそうです。
先ほども書きましたが、決して許せる犯罪ではありません。そして虐待を受けた子供が全て、こうした犯罪を起こしているわけではありません。でももし誰かがこの加害者たちの苦しみに気づいてあげて、早めに社会が対応することができていれば、起きなかった事件もあるように思います。
積もり積もった心の闇が、ある出来事をきっかけにして爆発してしまうのです。それは意識の乖離状態を誘発することが多く、本人の記憶がほとんどないまま行われた犯罪もありました。多重人格もそうした乖離状態の一種です。なぜ乖離しやすいかといえば、子供の頃から「心ここにあらず」の状態でないと生きていけなかったからです。
私は子供を育てた経験がありませんので、偉そうに言える立場ではありません。子育ての大変さなんてわからないだろう、と言われたらそれまです。でも心から思いました。もし機会があるのあら、親である人、そして親になろうとしている人に、この本を読んでほしい、と。そして社会全体が児童虐待のような悲劇を未然に防げるよう、この本に書かれた事実を、私のような子供を持たない人にも知ってほしいと強く感じました。
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