限界を決めないのが、本当のプロ
天気は下り坂の予報ですが、神戸は夕方になってもところどころ青空が見えています。今日はマジで涼しいです。朝から強い日差しがリビングに射し込んでいたにも関わらず、空気が冷んやりとしていました。今もどことなく肌寒く感じています。
とても綺麗だったので、昨日撮影した写真です。不思議な葉っぱですね。動物たちは個性豊かですが、植物たちも負けず劣らずの多様性を持っています。自分であることに徹している姿は、本当に美しいと思います。
それに比べて私たち人間は、自分に徹している人が少ないように感じます。自分の限界を勝手に決めてしまい、その枠の中から飛び出そうとしない。私にもそうした部分があると思います。その限界を超えることができれば、その先に新しい世界が待っているのでしょう。
そんな自分の限界を超えた、本当のプロの刑事の物語を昨晩読了しました。まぁ、あくまでもフィクションですけれどね。
『新参者』東野圭吾 著という本です。
東野さんの作品では、ガリレオ等シリーズ化された主人公がいます。この本は加賀恭一郎シリーズの作品です。私がこのシリーズを読むのは、確か2冊目だと思います。調べてみると、この作品はドラマ化もされているようです。テレビドラマをほとんど見ないので、全く知りませんでした。
この小説、少し構成が変わっています。全体が短編集のような構成になっています。しかし40代の女性が絞殺された、という事件の解明が物語の中心です。だから短編集として読み進めながらも、殺人犯は誰なのかを推理する物語です。悔しいですが全9章のうち、8章になるまで犯人がわかりませんでした。
この小説がもうひとつ面白いのは、東京の日本橋界隈のガイドブックのようになっていることです。東野さんの小説の舞台ではよく登場する場所です。おそらく地縁があるのでしょう。関西人の私にとってイメージしにくい場所ですが、読み進んでいるうちにその界隈を歩いてみたくなりました。
主人公の加賀という刑事は、私の大好きなキャラです。ドラマでは阿部寛さんが演じられているようですが、ぴったりのイメージですね。本当は警視庁の捜査一課で活躍できる実力を持ちながらも、あえて所轄署で働くという人物です。この小説では日本橋署に転勤したばかりなので、「新参者」というタイトルになっているようです。
加賀の仕事はもちろん犯人を逮捕することです。でも自分の仕事はそれだけだとは考えていません。事件に関わる全ての人に対して、思いやりを持って接しようとする人物です。若い学生に対しても、上から目線のタメ口で話したりしません。そして些細なことにこだわって、それを徹底的に解明していきます。その結果、大勢の人が癒されているのです。不思議なキャラですね。
日本橋に関わる様々な人物が登場します。煎餅屋、料亭、洋菓子屋、時計屋等、いろいろです。そのなかで被害者の友人がいました。翻訳家の女性です。被害者が殺される少し前にケンカ別れしていました。しかし加賀は捜査の過程で、被害者がその女性と仲直りしたかったことを知ります。事件に全く関係ないにも関わらず、加賀はそのことを翻訳家に伝えます。うれし涙を流した翻訳家の女性が、加賀に訊ねます。
「加賀さん、事件の捜査をしていたんじゃなかったんですか」
「捜査もしていますよ、もちろん。でも、刑事の仕事はそれだけじゃない。事件によって心が傷つけられた人がいるのなら、その人だって被害者だ。そういう被害者を救う手だてを探し出すのも、刑事の役目です」
かっこいいセリフですよね。自分の仕事に限界を決めていない、本当のプロの言葉だと思います。
このセリフは、もちろんフィクションです。こんな刑事さんがいるかどうかは、わかりません。でもそこには大切なことが隠されています。著者である東野圭吾さんが、プロ意識というものをどのように捉えているかを語っていると思うのです。だからフィクションであっても、読者は学ぶことができます。本当のプロなら、自分に限界を設定してはいけない。そんなことを教えてもらえた、素晴らしい物語でした。
さて、昨晩から大作を読んでいます。昭和40年代に出版された本で、字がとても小さく、二段書きで、600ページ以上あります。普通の単行本の4〜5冊分はあるでしょう。読了するのに何日かかるか予想できません。でも、自分に限界を設定してはいけませんよね!
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