他人の死期が見えたら、どうする?
久しぶりに雨の朝でした。たまにはいいものです。でも気温がぐっと下がりました。冬を感じさせる寒さです。我が家のミューナは暖かい場所で爆睡中です。猫は散歩に行きたいと言わないので助かります。こんな肌寒い日でも、ワンちゃんは散歩に行きたいですものね。
いつも行くスーパーの前で飼い主さんを待っていたワンちゃんです。これは昨日の写真ですが、今日もこうして散歩をしているのかな? 写真には写っていませんが、シャネルの服を着たオシャレなワンちゃんでした。
さて、あなたは他人の死期が見えたら、どうしますか?
何とかしてその死期を変えるように、働きかけるでしょうか? それともその人の運命だとして、見過ごしますか?
そんなことを問いかけられる本を昨晩読了しました。
『フォルトゥナの瞳』百田尚樹 著という本です。
この小説で現在出版中の百田さんの作品は全て読了しました。同じジャンルは二度と書かないと豪語されている通り、これまでと全く違う雰囲気を持つ小説です。ある意味ファンタジーであり SFのようでもあります。ところが読み進めていると、気がつけば自分の生き方を著者から問われていることがわかります。まだ新しい作品ですので、ネタバレはしませんから安心してください。
主人公の慎一郎は通勤の途中、電車の中でつり革を持つ手が透けている男性を見ます。やがてそれだけでなく、全身が透けている透明人間のような人物にも遭遇します。その透明人間の若い男性は、慎一郎の目の前で車にはねられて亡くなります。亡くなった瞬間、再び姿が見えます。つまり透明であればあるほど、間もなく死ぬ、ということです。
ある日慎一郎は、自分の行動によって、透明だった人がそうでなくなったことを経験します。死ぬべき運命が変化したのです。もしかすると、自分は死ぬべき人間を救えるかもしれない。少なくとも事故死や犯罪で死ぬであろう人間の運命を変えられるだろう。そう思います。
ところがそれは代償を伴う行為でした。死ぬべき人間を助ける度に、自分の寿命が縮まるのです。大勢の人間の運命を変えれば変えるほど、自分の命を差し出すことになります。人を助けたい。でもそれは自分が死に向かうことになって葛藤します。
さらに慎一郎を苦しめたのは、歴史を変えてしまうことです。ある人間の命を救ったことで、その人間が大勢の人間の命を将来奪うかもしれません。そうすれば、自分の行為によってその人達を殺したことになります。実際物語の中で、主人公はそうした状況に追い込まれます。
内容については、これくらいにしておきましょう。百田さんはエンディングに、ある仕掛けをしています。でも私はこの物語の中盤くらいで、その仕掛けを見破ってしまいました。私ならこう書く、と思いながら常に小説を読んでいますから、ついつい先読みしてしまうのです。でも百田さんと発想が同じだったので、嬉しかったです。でも同じ仕掛けを使いつつ、私なら物語の結末は違ったストーリーにしたと思います。
ところで皆さんがこの主人公と同じ能力を持っていたら、どうしますか? 自分の命を削ってでも、他人を助けるでしょうか?
家族のためならできるかもしれません。私はそうするでしょう。でも赤の他人のために自分の命を削れるかと問われたら、答えに窮してしまいます。そしてこの能力の困ったところは、自分の死期は決してわからない、ということなのです。
フォルトゥナというのはローマ神話の女神の名前とのこと。運命を司る女神です。その女神の瞳を持った青年が主人公ですから、このようなタイトルになったのですね。自分の死期を知りたい私ですが、このフォルトゥナの瞳はノーサンキューです。他人の死期に無関心でいることに、耐えられないでしょう。
様々なことを考えさせられる、素晴らしい小説でした。秋の夜長にオススメの物語です。慎一郎に感情移入しながら、人間の運命について考えてみるのもいいですよ〜〜!
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