取り憑かれる理由
今日も見事な晴天でした。自宅に引きこもっているので実感はありませんが、気温は平年より高そうです。明日はもっと暖かくなるとのこと。
昨日の夕方の天気予報によると、やはり紅葉が大幅に遅れているとのこと。奈良では平年より19日も遅れているそうです。そう言われたら、自宅から見る六甲山が日増しに美しくなっています。ここ一週間くらいは暖かいので、週末には紅葉見物ができるかもしれませんね。京都は観光シーズンのピークを過ぎていますから、人が少なくていいかも。
さて、ブログで連載している『妖精からの招待状』は今週で終わります。木曜日の朝が実質的な最終回で、土曜日の朝は「エピローグ」になる予定です。ただ状況によっては、1回分くらい伸びるかもしれません。今朝の分で実施的に最終回にするつもりが、途中で変更して木曜日まで持ち越してしまいましたから。
思ったより長編になってしまいました。でもなかなか素敵なキャラを登場させることができたので、自己満足ですがリノベーションを楽しみにしています。登場人物たちを自由に放置していますから、その行動が予測できません。頭の中で勝手にセリフを話し出して、思わぬ方向に連れて行かれることが何度もありました。長編になった言い訳で〜す!
次回はホラーを予定しています。でもまだ具体的なイメージができていませんので、スタートは年明けになるかもしれません。少し勉強して、とびきり怖い物語にできたらと考えています。そんなホラーの勉強になる本を昨晩に読了しました。
『ばんば憑き』宮部みゆき 著という本です。
ホラーの勉強のつもりで借りたのではなく、たまたま手に取った本が怪談でした。目についた本を手にしていますから、読み始めて怪談だと気づきました。6つの短編で構成されている単行本でして、全て江戸時代が舞台の時代小説になっています。
一般的な怪談とは少し違い、いわゆる「物の怪」的な妖怪が多く登場します。おそらく江戸時代に残された伝承を題材にされているのだと思います。100個の目がついた空飛ぶ布団のような化け物から、可愛い猫が化けた女性も登場します。それぞれの物語に味わいがあり、引き寄せられるように読んでしまいました。あの『ソロモンの偽証』を書かれた作家だということを忘れてしまうほど、独特の世界観がある素晴らしい時代小説でした。
それぞれに怖かったのですが、私が最も気味悪く感じたのは単行本のタイトルになっている『ばんば憑き』という物語です。ある村に恐ろしい風習があります。人を殺した罪ほろぼしのため、殺された人間の魂を、殺した人間に取り憑かせる、という儀式が『ばんば憑き』です。殺した人間の魂は、殺された人間の魂に食われてしまうのです。
つまり見た目の姿は殺した人間なのに、殺された人間の意識で余生を過ごします。元の意識は全く残りません。ですから実質的に死ぬのは、殺した人間なのです。人間の自我の喪失という、最も根本的な恐怖が取り上げられています。
この6つの物語に共通しているのは『憑く』ということです。先ほどのように殺された人間だったり、商売で裏切られた人間。あるいは耐えきれないほどの孤独の中で死んでいった人間もいます。それらが怨霊化して、人間とは思えない姿を見せます。でも元は、普通の人間だったのです。
取り憑く側にも、取り憑かれる側にも、それぞれ理由があるのです。そしてそれは悲しく、辛い物語です。現代に当てはめてみても、同じようなことが起きています。詐欺だったり、いじめだったり。他人を苦しめるという、取り憑かれる理由は時代を問わないのでしょう。
全くジャンル違いなのですが、私は初代ウルトラマンに登場するジャミラという怪獣を思い出しました。元は火星に向かった人間の宇宙飛行士だったのです。ところが事故で見捨てられ、水が存在しない世界で怪物になってしまいます。そして人類への恨みを晴らすため、地球を襲った怪獣です。
彼には取り憑く理由があったのです。化け物になる理由があったのです。それがとても悲しく切ない。子供にとってはとても重いストーリーでした。
水がない世界から来たから水に弱い。ウルトラマンに水攻めにされながら苦悶の泣き声をあげるジャミラの声は、子供の頃の私の耳に染みつき、今でも離れません。この物語を読みながら、ジャミラの声が頭の中でリフレインしていました。とても素晴らしい小説でした。
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