父という人生の壁
昨日の夜、桜島噴火のニュースには驚きました。地元の人にしたら、あぁ、またか、という程度の噴火なのかもしれません。でもたまたまNHKの午後7時のニュースを見ていた私には、あの爆発的な噴火には圧倒されました。すごいエネルギーを感じます。
それにしても噴火や地震等、地球のあちらこちらからそうした情報が入ってきています。関東でも地震がありましたし、台湾ではかなりひどく揺れたようです。建物が倒壊して、亡くなった方も出ています。
倒壊している建物とそうでない建物が同時に見えるので、違法建築的な建物が地震でやられてしまったような印象を持っています。神戸の大震災でも同じことを耳にしました。同程度の揺れの地域で、建物によって被害がまったく違います。軽い地震ならバレなくても、ある規模の地震が起きたらその差が歴然となるのでしょう。とにかく地球が暴れていますね。
子供の頃から怖いものの代表として、「地震、雷、火事、親父」という言葉がありました。確かにどれも怖いですが、最後の親父に関して言えば、現代では微妙な気がします。いわゆる父権というものが、時代とともに変わってきているのでしょう。
昨晩「痛快、えみちゃんねる!」という番組の録画を見ていました。ゲストのひとりとして、大沢樹生さんが出演されていました。子供のDNA鑑定で話題になった方ですね。まぁこれに関しては、喜多嶋舞さんの言動はまったく信用できないので、これ以上真偽を検証する必要がないくらいです。
大沢さんの話を聞いていると、自分の子供じゃないと感じながらも、いいお父さんだったんだな、という印象でした。子供にとっては申し訳ないことをした、と言われていました。でもいつか向き合うべきことだし、一緒に暮らしてきた思い出もある。だから、いつか父と子として、酒を酌み交わす日が来ることを願っている、と話されていました。
結局、大切なのは血のつながりではなく、相手を思いやる気持ちです。家族というのは、血縁よりも絆の深さで感じるべきものでしょう。しかし、昔の父親というのは、そうではありませんでした。「家」というものを残さなければいけない。歌舞伎役者ならわかりますが、一般家庭でも血を受け継ぐことが何よりも重要だと考えられていた時代がありました。
そうなると息子にとって、父は大きな壁のように感じます。その背中を追い、いつかその壁を超えなければならない。そんなプレッシャーと抑圧を感じさせる存在です。だから怖いものの象徴として、「父親」という言葉が採用されたいたのかもしれません。そんな強権をふるう父の映画を観ました。
『父 パードレ・パドローネ』(Padre Padrone)という1977年のイタリア映画です。
カヴィーノ・レッダというイタリアで著名な言語学者の自伝を映画化した作品です。カヴィーノはイタリアのサルディーニャ島に暮らしています。父は羊飼いで、長男のカヴィーノは小学校を数週間で退学させられて、山の上で20歳になるまで世間から隔離するようにして働かされます。
一切の教育を受けていませんから、サルディーニャ語というイタリアの方言を話すことができても、標準語たる普通のイタリア語を話すことはできません。当然ながら文字は書けませんし、読めません。
父という人生の大きな壁の前に屈していた20年だったのです。ところが軍隊に入隊することになり、そこで文盲の自分に愕然とします。戦友からイタリア語を学び、少しずつ語彙を増やしていきます。そして軍隊で生活しながら中学校卒業の資格を取ります。
その後必死で勉強して、ローマ大学に入り、言語学者として有名になります。そんなカヴィーノの半生を描いた映画です。まったく読み書きできない彼が、言語学者になるなんて、本当にすごい話です。並大抵の努力ではなかったでしょう。
映画の前半は父の暴力がクローズアップされるので、ちょっと見るに堪えないシーンもありました。でも後半になって父の呪縛から抜け出て自分の人生を生きようとする姿は、とても感動的でした。古い映画なので、ちょっとテンポ感の悪さが気になりましたが。
映画では学者になるまでの人生が描かれています。実生活では学者を辞めて、最後には地元に戻って羊飼いをされていたようです。そのあたりも面白いですね。結局は父の後を追っていたのでしょうか?
私も長男でしたから、同じようなことを感じたことがあります。父の生き方に対して反発があったので、会社を継ぐことに抵抗しました。そういう意味では大きな影響があったわけで、私にとっても父は人生の壁だったのかもしれません。
でも時代は変わっていますね。「地震、雷、火事、親父」というリズムのある言葉は、今や死語かもしれません。
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