宇宙戦艦ヤマトの真実
今日は七夕です。例年この時期は梅雨の真っ最中なので、どちらかといえば晴れることが少ないように思います。でも今日の神戸は快晴。日が落ちて六甲山の展望台までドライブすれば、百万ドルの夜景と星空を楽しめるかもしれません。カップルのデートには最適ですね。
だけど織姫と彦星の立場にすれば、曇天のほうがいいかも。せっかく1年に1度の逢瀬ですから、誰にも覗かれずに二人きりにしてあげたいですからね。
ということで深夜に星を見るのはやめて、ラジオを聴くのはいかがでしょうか?
昨日からお知らせしていますが、私がゲスト出演する@FMのMultiply Radioは今夜の25:00からですよ〜〜!
司会はアートディレクターの鈴木明さんと、グラビアアイドルの杉原杏璃さんです。私は番組の後半から登場して、今回は体外離脱と動物との会話についてお話しさせていただきました。radikoというスマホのアプリをダウンロードすれば、ラジオの無い方やエリア外の方でも聴いていただけます。ぜひ聴いてくださいね。
さて話は変わりますが、『宇宙戦艦ヤマト』というアニメをご存知でしょうか?
テレビでアニメが放送開始されたのは1974年10月、私が小学校6年生のときです。そして最初の映画公開が1977年8月ですから、私は15歳。さらに大ヒットした『さらば宇宙戦艦ヤマト』の映画公開が1978年8月。つまり私はヤマト世代のど真ん中にいました。
当然ながらこのアニメの大ファンで、当時公開された3本の映画もテレビ放送もすべて見ています。『さらば宇宙戦艦ヤマト』で死んだ古代進と森雪が、同じ内容のテレビ放送では生き延びたことに、喜んだり、違和感を覚えたりしていました。
その後に続く『ガンダム』や『エヴァンゲリオン』の先駆者となったアニメですから、青春時代に立ち会えたことに対して今でも喜びを感じています。そんな私が、テレビや映画のクレジットでいつも気になっていた名前がありました。
西崎義展。『宇宙戦艦ヤマト』を考案して、この世に送り出したプロデューサーです。その西崎さんの波乱の人生を描いたノンフィクションを読みました。
『「宇宙戦艦ヤマト」を作った男 西崎義展の狂気』 牧村康正 山田哲久 共著という本です。
映画会社やテレビ局等の社員ではなく、独立プロデューサーとして活動されたのが西崎さんです。自分で会社を興して、このアニメを世に送り出されたのです。10代のころは知りませんでしたが、かなり奇行で有名な方だとのちに知りました。相当ヤバい人であると……。
しかしこの本を読んで、初めてその実像を知りました。想像していた以上にヤバい。
常に複数の愛人を囲い、大型のクルーザーで著名人を接待する。思いついたら深夜でも会議を行い、自分の独断ですべてを決めてしまう。まるで山師のように次々と私財を投入して勝負をかける。大成功を収めるだけでなく、いくつも会社を倒産させ、自らも破産を経験されています。さらに覚醒剤等の薬物にも手を出し、フィリピンで買い付けた大量の銃火器を隠し持っていて、刑務所暮らしもされています。
でも『宇宙戦艦ヤマト』は、この西崎さんがいなければ世に出ませんでした。それほどプロデューサーとしては素晴らしい人物だったのです。このアニメは松本零士さんが著作権を持っておられると思われがちですが、実はそうではありません。この西崎さんなのです。
松本さんは自分の権利を主張して裁判を起こしていますが、敗訴されています。戦艦大和を宇宙へ飛ばすという発想について、西崎さんが企画された資料が残されています。松本さんは、大筋の構想が決まってからデザイン等で参加されただけでした。私も『銀河鉄道999』とともに松本さんの原作だと思い込んでいましたが、『宇宙戦艦ヤマト』に関してはそうではなかったのです。
西崎さんがすごいのは、出所してからも『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』を完成させたことです。決して転落だけで終わった人生ではありませんでした。しかし2010年に遊泳のために訪れていた小笠原で海に転落して亡くなられています。
完全な事故なのですが、他殺説が流布されるほど大勢の人間に恨まれていた人でした。80億円もの負債を抱えて破産し、被害に遭った債権者たちの怒りは収まっていません。覚醒剤、銃火器所持で服的していましたから、暴力団との危険な関係もあります。憎まれっ子世に憚るという状況ですから、四方八方敵に取り巻かれていたのです。
それでもこの本を読んで、とても魅力的な人だと思いました。小説の題材にしたくなるような人物です。もしかしたら彼の人生がいつか映画になるかもしれませんね。それほど波乱万丈で、興味深い人生でした。
この本のタイトル通り、西崎さんは狂気のなかで生きた人です。もちろんご本人は、そう思っていなかったでしょう。でもその狂気は、誰でも内に秘めているのではないでしょうか? 世間体を考えて、必死で抑えているだけかもしれません。そんなことを感じさせる、素晴らしいノンフィクションでした。
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