これでこそ『模倣犯』
なんとも不安定な天気です。雨が降ったりやんだりで、晴れるからなと思ったとたんに雨が降ります。今も窓の外の大阪方面は雨に煙って真っ白です。
それでも秋雨前線がやや南へ下がったのか、涼しい空気が入ってきました。昨日のような強烈な蒸し暑さはおさまったようです。すぐ近くの私立女子中高は運動会のテントが建っていましたが、今日は中止になったようです。本当に雨ばかりですからね。
さて、昨日も少しブログで触れたドラマの後編を見終わりました。
先週に放送された宮部みゆきさん原作の『模倣犯』のドラマ版です。前後編トータルで実質4時間ほどの作品でしたが、時間を忘れて見入ってしまいました。完璧です。これでこそ『模倣犯』です。文句ばっかり言って申し訳ありませんが、2002年に映画を作ったスタッフにこのドラマを見て欲しいと思いました。
原作をじっくりと読めば、このとおり素晴らしい作品になります。もちろん映画と違って時間の制約が緩い分やりやすいでしょう。映画で4時間はきついですからね。でもしっかり原作を読み込んでいれば、ドラマの半分の2時間だとしても、もう少しまともな作品にできたはずです。
中谷美紀さんはマジですごい。完璧な前畑滋子です。この『模倣犯』のスピンオフ作品で『楽園』という小説があります。前畑滋子が主人公になった作品ですが、中谷美紀さんの滋子でこの作品のドラマ化を熱望します。それほど完璧な滋子役でした。
そして滋子の夫の昭二を演じた杉本哲太さんも最高でした。この夫婦の葛藤と愛情が、悲惨な事件を描いたこのドラマを少しホッとしたものに変えてくれています。映画ではその昭二を殺すというとんでもないシナリオでしたから、もう口あんぐりでした。
孫を連続殺人犯に殺されたという、有馬義男を演じた橋爪功さんの演技も感動でした。この物語を支える重要な人物ですから、橋爪さんの素晴らしい演技によってこのドラマは支えられていた印象です。
犯人の一人である栗橋浩美についても原作に忠実に描かれていましたね。彼は幼くして死んだ姉の亡霊に怯えています。浩美という名前は姉の名前だったのです。ドラマでは明かされていませんが、実は母親が虐待で殺しています。「私の身体を返せ」という姉の亡霊に怯えるゆえに、精神が崩壊して異常な犯罪に手を染めるようになります。
そして主犯の網川浩一を演じた坂口健太郎さんは見事でした。最初はどうかな?と心配になりましたが、後編の演技ですぐに考えを改めました。若いのにうまい俳優さんです。サイコパス的な網川なのですが、そのクレイジーな部分に対して違和感を持ちませんでした。
事件解決のきっかけとなる「あなたは模倣犯にしか過ぎない」という滋子のセリフも、原作のままでホッとしました。このセリフゆえ、このタイトルになったのですからね。それを捻じ曲げてしまった映画が失敗するのは当然です。映画の悪口ばかりですみません。それほどひどかったものですから(笑)
とにかく原作に忠実であることを意識しつつ、ドラマの時間内でうまく収まるように考え抜かれた素晴らしい作品でした。この小説で問われているのは、犯罪における被害者の家族と、加害者の家族です。実はどちらも犠牲者、あるいは被害者と言っていいと思います。
そのあたりがまったくブレずに、最後まで貫かれていたように思います。いや〜、いいドラマを見せてもらいました。それにしても中谷美紀さんは、本当にいい女優さんですね。わたしのなかの前畑滋子のイメージが、完璧に中谷美紀さんの姿に塗り替えられてしまいました〜!
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