10年前の自分と違う価値観
今日は体育の日です。昔は10日で固定されていましたから、今日が体育の日だと収まる場所に収まったような落ち着きを感じます。10月10日は晴れの特異日として有名で、そのとおり見事な秋晴れです。先日まで夏の格好で外出していましたが、今日から秋ヴァージョンに変更しました。
散歩していると、こんな可愛い花を見つけました。名前はわかりませんが、秋を感じさせる花ですね。週間予報を見ているとこの気温が続くようですから、やっと衣替えができそうです。といっても服が少ないので、あっという間に終わりますけれどね。
さて、昨日はある映画を観て、自分の価値観の変化をもろに感じました。10年前の映画なのですが、大好きな俳優さんばかりが出ています。初めて観たときはラスト前までめちゃくちゃ面白い映画だと感じていました。でもどうしてもエンディングが納得いきません。ところが同じ映画なのに、そのエンディングが好きになってしまいました。自分のことながら、ちょっと驚いてしまいます。
『ディパーテッド』という2006年のアメリカ映画です。香港映画のリメイク作品になります。
配役を見るだけでゾクゾクしますね。マット・デイモン、レオナルド・ディカプリオ、マーク・ウォールバーグ、そしてジャック・ニコルソン。さらに監督はマーティン・スコセッシですから、面白いに決まっています。そう思って10年前も観ました。
設定がいいのですよね。マット・デイモンが演じるコリンは、ジャック・ニコルソン演じるコステロというマフィアのボスに援助を受けて育ちます。そして警察のエリートとして昇進を続けることで、コステロに情報を流していました。
一方レオナルド・ディカプリオが演じるビリーは優秀な警官ですが、履歴を消されて潜入捜査に抜擢されます。潜入先はコステロの組織。警察に潜り込んだマフィアの人間と、マフィアに潜入した警察官を対照的に描いた作品です。どちらの組織も裏切り者を探そうと必死になります。その駆け引きやアクションで、ハラハラドキドキする映画です。マット・デイモンの悪役が最高です。そしてレオナルド・ディカプリオの演技のうまさに圧倒されます。
ところがラストは全員が死にます。コステロは息子同然のコリンに殺され、ビリーはマフィアの息がかかった別の警官に射殺されます。そしてコリンもビリーを潜入捜査に送り込んだティグナムという巡査部長にラストで殺されます。「おいおい、全員殺して終わりかよ」と10年前はがっかりしました。
特にレオナルド・ディカプリオが演じるビリーが可哀想すぎて辛かった。潜入捜査で苦しみ、必死で結果を出そうとします。そしてようやくコステロが殺されて本当の自分の身分を取り戻せるというのに、あっさりと殺されてしまいます。
わたし自身のなかにある強い正義感というか、倫理観がそれを許せませんでした。そんな不条理で理不尽な彼の人生に耐えられなかったのです。マット・デイモンが最後に殺されるのは納得できました。だってとんでもない悪党でしたから。つまり勧善懲悪の意識が強すぎたのです。
でも10年も経つと、人間の価値観は変わるものですね。人生ってそんなものだと、どこか達観して見ている自分を感じます。むしろ必死になって本当の自分を取り戻そうとするビリーがあっさりと殺されることで、とてつもない苦しみから解放されたように感じました。不思議なものです。
『ディパーテッド』とは旅立った人であり、死者をさす言葉です。ですからこの映画の結末は、そのタイトルに現れていたのですね。いまになって気づきました。映画も小説も、過去に経験したものとは違う印象を持つことがあります。そういう作品ほど、素晴らしい「何か」を持っているのかもしれません。見直すことで、新たな気づきをもたらしてくれた映画でした。
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