SOLA TODAY Vol.68
人間の出会いというのは、生まれる前から決まっているのではないでしょうか? そんなことを感じさせてくれる記事を見つけました。たまには心が和む話題もいいですからね。
デンプシーさんは元海兵隊員で、現在はシカゴの南のフランクフォートという場所で警官をされています。ある日同僚の言葉を耳にします。彼のいとこが肝臓移植のドナーを探しているとのこと。そのいとこがヘザーさんです。末期の肝臓ガンで「ステーシ4」まで進行しています。肝臓移植を受けなければ、2ヶ月後の生存率は5割だと宣告されていました。
ヘザーさんの家族は必死でドナーを探しますが、11万9000人が移植の待機状態であるアメリカにおいて、急にドナーを見つけるなんて無理な話です。デンプシーさんはその家族のことを思うと気の毒になり、ドナーの適合検査を申し出たそうです。
驚いたことに適合検査はバッチリ。それでデンプシーさんは移植することを決意します。ヘザーさんの母親は喜びのあまり涙を流したそうです。きっとデンプシーさんとヘザーさんは、そういう出会いをすることが決まっていたのではないでしょうか。
移植が決まって一緒に過ごすうち、二人は互いに惹かれ合います。デンプシーさんは結婚を意識しますが、手術が無事に終わるまではプロポーズをしないと決めていました。そして手術は無事に成功。8ヶ月後にデンプシーさんはプロポーズをしました。
2人が結婚式を挙げたのは、移植手術から1年7ヶ月が経った時です。余命2ヶ月と宣告されていたヘザーさんは、未来の夫の肝臓をもらうことで新しい人生を生きることになりました。彼女にしてみれば想像すらできなかった未来だと思います。そしてデンプシーさんも、同じような感想をインタビューで口にしています。
「(ドナーに)同意した時は、結婚するなんて夢にも思わなかった。信じられない」
たまたま同僚の話を耳にして、ドナーの適合検査を受けてみようと思う。もしそう考えたとしても、適合するかどうかはわかりません。さらに二人が恋に落ちる可能性を考えると、偶然の出会いとは思えませんよね。どちらかに恋人がいたり結婚していたら、まったく有り得ないラブストーリーですから。デンプシーさんは38歳で、ヘザーさんは27歳。それぞれに伴侶がいても不思議ではない年齢です。
きっと生まれる前から、二人はこのような出会いを計画していたのだと感じました。デンプシーさんが海兵隊に入隊したのも、そして警察官になったのも、その同僚の言葉を耳にするためだと思います。とても素敵な話だなぁと感じました。
それにしても移植大国であるアメリカでさえ、移植のドナーを探すのはこれほど大変だとは。日本はさらに遅れをとっていますから、もっと深刻な問題が発生しているだろうと想像できます。日本の人口透析技術は世界一だと豪語する人がいますが、裏を返せば腎臓移植という手段が遅れていることの証明のようなものです。おそらく人工透析自体が、安易に利益を生むシステムになっていることも理由だと思います。
個人的には他人の臓器を移植することに違和感を覚えますが、それは自分や家族がそのような切実な立場になっていないからでしょう。この記事のようなロマンスは例外として、もし移植で救える命があるのならば、日本の医療も意識改革が必要なのかもしれませんね。
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