十角館の殺人
今日の神戸は朝から雲が厚く、時おり雨も降りました。でも秋らしい気候で、自宅から見える公園の木々が色づいているのがよくわかります。
昨日の散歩中には、こんな綺麗な菊の花と出会いました。わたしはすっかり勘違いしていましたが、今夜がスーパームーンなのですね。このブログを書いている時点(午後4時半)で、まだ雲が空の大半を占めています。時々青空が顔を見せてくれますが、夜遅くには雨が降るようです。
でも雲の動きを見ていると、しばらくは大きな雨雲がやってこないかも。運が良ければ雲の隙間から満月が見えるかもしれません。68年ぶりの接近らしいですから、ほとんどの人が生まれて初めての近い距離で満月を見ることになります。できればチラッとでもいいので姿を見せて欲しいと願っています。
さて、昨晩読了した本です。
『十角館の殺人』綾辻行人 著という本です
本格ミステリー作家として有名な綾辻さんのデビュー作です。初版は1987年ですから、かなり古い作品です。わたしも名前を知っている作品でしたが、縁がなくて読む機会がありませんでした。
ところがある方から、「とても面白い」と推薦していただいので、そんな機会を逃してはいけないと思い、すぐに図書館に予約しました。そしてあっという間に読んでしまいました。その推薦どおり、めちゃめちゃ面白い小説でした〜〜!
本格ミステリーというのは、ある意味決まりがあります。使われるトリックが巧妙で、作家と読者との対決でもあります。もっとも多く使用されるのが密室殺人です。この物語もある意味、密室殺人のジャンルだと言える作品です。
有名な作品なので知っている方は多いかもしれませんが、わたしのように読んだことがない人のためにネタバレはしないようにします。密室として角島という架空の無人島が利用されています。そこに以前人が住んでいたことがあり、それが十角館です。
そこへやってきたミステリ研究会の学生が次々と殺されます。結果的に6人が死にます。この小説が面白いのは、その角島に向かったメンバーが、通称で呼ばれていたことです。ミステリーのファンなので、アガサやエラリィという有名作家の名前で呼び合っていました。そこが一つトリックのポイントになります。
これ以上書くとネタバレになるので書きませんが、わたしはプロローグで犯人像が頭に浮かび、第1章で犯人を確定しました。もちろん小説が進んでいないので、殺した方法もトリックもわかっていない段階です。でも誰が犯人であるかは予想したとおりでした。
なせかというと、書き手の立場で読んでしまうからです。どうしても他の登場人物と違う部分に注意が惹きつけられてしまいます。この物語全般に流れているのは復讐です。急性アル中で死んでしまった女性学生がいます。その飲み会に参加していた学生がターゲットになっています。酒を無理やり飲ませた復讐ですね。
大学生の娘が死んで最も悲しむのは、その両親でしょう。そしてこの小説もその父親の復讐が、最初から最後まで読者の注意を引きつけるように書かれています。でもわたしは変人ですから、プロローグを読んだ時点で気がついてしまいました。これは父親の言葉でなはい、と直感してしまいました。
ですから通称を使って読者に与える錯覚も、中盤以降で読めてしまいました。先ほども書きましたが、書き手の視点で読んでいるからです。違和感のある言動や行動をする人間には、すぐに注意が向いてしまいます。ですから犯人がわかった時は、あまり驚くことはありませんでした。
それでもこれはかなり面白い小説です。犯人を想像できても、具体的にどのように行動したかは最後まで読まないと全貌が明らかになりません。だから読み始めたら手を止めることができませんでした。以前からこの作品が話題になっていたのは知っていましたが、さすがだと思わせる内容です。
物語の展開や全体の構成等、とても勉強になりました。個人のキャラ設定も素晴らしい。学生のなかに医学部の生徒を設定することで、リアリティが増します。強いて気になる点を言えば、まだ殺されずに残っていた学生たちが、犯人探しをする場面はちょっと違和感を覚えました。友人たちがバタバタと死んでいるのに、あれほど冷静に犯人を探せるだろうか? もし自分ならパニックになってしまって、一歩も動けないと思います。
もし一度も読まれたことがない方がおられましたら、かなりオススメですよ。秋の夜長に、犯人探しをしてみてください
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