レクター博士の強烈な存在感
そこそこ気温は低めですが、ここ数日は過ごしやすい日が続いています。今日も青空が広がっていて、歩くにはちょうどいい気候でした。来週の後半には師走に突入ですから、いよいよ2016年も終わりですね。
今週はいろいろ予定がありまして、月曜日と今日の金曜日に妻とカフェで待ち合わせをしていました。今月の初めに痛めた腰はほぼ治っていたのに、月曜日に待っていたタリーズで再び痛めてしまいました。
普段の時なら問題ありませんが、腰を痛めている時に座る椅子との相性は大切ですね。どうやらタリーズの椅子がわたしの腰と合わなかったようで、火曜日水曜日とちょっと苦労する事になってしまいました。
では今日の待ち合わせをどうするか? JR六甲道駅付近でカフェといえば、残るはドトールだけです。ケンタッキーとマクドナルドもありますが、落ち着いて本を読める環境ではないので除外。ということで今日はドトールで待ち合わせの時間まで読書をしていました。
不思議なもので、相性のいい椅子というのはあるのですね。月曜日のタリーズと違い、腰に対する負担をまったく感じないソファでした。タリーズの新店舗がオープンするまではドトールでよく仕事をしていましたが、今日は久しぶりの入店です。何時間座っていても問題ないと感じるほどでした。
カフェが乱立している状況において、こうしたことは意外なポイントになりますね。コーヒーの味や値段はそれほど大差ありませんから、今のわたしにとってはソファの相性の良さは見逃せません。しばらくは待ち合わせにはドトールを使うことになりそうです。
そのドトールで今日の午前中に読了した本です。
『羊たちの沈黙』トマス・ハリス著という本です。
前作の『レッド・ドラゴン』と同様に、この本も上下巻合わせて600ページ以上ある長編です。さすがに実質3日ほどかかりました。この2冊を並べてみて初めて気づきましたが、『ひとつの顔』になっているのですね!
いや〜、めちゃめちゃよかったです。映画は何度か観ているので、ストーリーは頭に入っています。先に映画を見ていますから、主人公のクラリス・スターリングのイメージは、どうしても若いころのジョディ・フォスターになってしまいます。
同じくハンニバル・レクター博士もアンソニー・ホプキンスしか頭に浮かびません。こればかりはどうしようもありませんね。それほどあの二人が名優で、ハマリ役だったということでしょう。
でもやっぱり原作はいいです。スターリングについて、そしてレクターについて、映画では及ばない領域まで理解することができました。例えばラストで犯人の「バッファロー・ビル」をスターリングは見事に射殺しますが、まだ22歳のFBI訓練生なので普通は難しいはずです。
ところが物語の最初に彼女が登場すると、FBIの訓練で銃に関する特別な能力を持つことが時間をかけて語られています。そうした伏線と専門的知識によって、物語の世界に最後まで没頭することができます。
この小説の最大の魅力は、経験を積んだ捜査官でさえ手玉にとってしまうレクターが、若い訓練生を通じて犯人の実像に迫っていくという部分です。そのミスマッチが独特の世界観を作っています。映画でも二人の会話に惹きつけられましたが、原作ではさらに強烈な引力で二人のやりとりがわたしの心をとらえました。
そしてなんといっても『レッド・ドラゴン』と違うのは、レクター博士の強烈な存在感です。ようやく真打の登場という雰囲気でした。完璧に完成されたストーリーですから、映画もヒットするはずです。原作を読んでとても勉強になりました。
もうひとつよかったのが翻訳者である高見浩さんの文章です。正直に言って前作の『レッド・ドラゴン』の翻訳は読みづらかったです。トマス・ハリスの文章は専門用語が頻繁に使用されたかと思うと、突然詩的な美文が続いたりします。それゆえに魅力的なのですが、高見さんの翻訳は本当に素晴らしいと思います。日本語で書かれた小説として読んでもいいほど、勉強になる文章でした。
この後の作品となる『ハンニバル』と『ハンニバル・ライジング』も読むのが楽しみです。チェックしてみると翻訳者は高見さんなのでほっとしました。映画に関してはリメイク版の『レッド・ドラゴン』を観て、小説を読んだら『ハンニバル』と『ハンニバル・ライジング』の映画も観る予定です。しばらくはレクター博士オタクになりそうです(笑)
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