朝起きて30年後だったら?
神戸の小学生は、今日が始業式だったようですね。久しぶりに朝から通学する子供たちの声が聞こえ、もうお昼頃には下校していました。自宅マンション近くの私立女子中高も、同じように午後すぐに帰宅する生徒たちの姿が目につきました。
阪急電車の六甲駅付近では、神戸大学に通う学生さんが大勢歩いていました。3連休も終わったので、ようやく2017年も普通モードです。平成にすると29年ですね。
ところが今日のニュースを見ていると、どうやら平成は来年で終わりそうです。天皇陛下が希望された生前退位を進めるにあたって、具体的な案が検討されているようです。それは2019年の元旦をもって、新しい元号に変更するという案です。
それがそのまま採用されると、来年の平成30年が最後の平成となります。元号はややこしいだけなので、すべて西暦にすればいいと思うのですが、そうもいかないようですね。天皇陛下が変われば、同時に元号も改められるようです。
そうなってくると、出産を計画している人は悩むところですね(笑) 自分の子供を平成生まれにするのか、あるいは新しい元号生まれにするのか?
親の立場で想像すれば、新しい元号を選択する人が多いように思います。そうなると昭和生まれの人は、わたしが子供時代の明治生まれの感覚になりますね。
でも逆に考えれば、平成30年生まれを狙うメリットもありそうです。出産を新しい元号に合わす人が増えれば、出生数の少ない年で育つ子供になります。そうすると受験や就職に関して、競争率が低くなるかも? まぁ、そこまで考える人はいないかなぁ(笑)
どちらにししても、元号の変更に伴って新しいビジネスチャンスがあったり、便乗する詐欺なんかも出てきそう。2019年の今ごろはどんな雰囲気なのでしょう? 東京オリンピックが開会される時は、新しい元号になっていそうですね。
さて、昨日観た映画です。
『レナードの朝』(原題:Awakenings)という1990年のアメリカ映画です。
公開時にも観ましたし、その後も何度か観た映画です。BSで放送していたので、久しぶりに鑑賞しました。やっぱりいい映画というのは、何度観てもいいものです。少し忘れている部分もあったりしたので、改めて感動を味わうことができました。
とてもシンプルなストーリーです。実話に基づいて作られたフィクションですので、完全な事実ではありません。でも『生きる』というのはどういうことなのかを、観る人に強く問いかける素晴らしい作品です。
嗜眠性脳炎という病気があります。眠っているわけではないので、昼間は目を開けています。でも意識が反応することはなく、自分の意思で何かを行動しようとしません。映画のセリフでも出てきますが、魂が抜けてしまったような症状です。
その患者に対して、パーキンソン病の試験薬を投与したところ、奇跡的に意識が回復しました。これは事実です。しかしそれは一時的なものだったので、やがて以前の症状に戻ってしまいました。その事実を映画として再構成したものです。
オリバー・サックスという医師がこの映画のモデルですが、映画ではマルコム・セイヤーという名で登場します。そのセイヤーをロビン・ウィリアムスが演じています。
そして最初に意識を取り戻した患者であるもう一人の主人公は、レナード・ロウという名です。そのレナードをロバート・デ・ニーロが演じています。二人とも若いので、とても新鮮な印象を受けました。
レナードは子供の頃に脳炎を発症して、そこから時間が停止しています。パーキンソン病の薬で意識が覚醒した時、すでに30年が経過していました。でもレナードの意識は子供のままです。眠ってしまって目覚めたら、30年後だったという状況です。日本でいえば浦島太郎ですね。
レナードは失ってしまった30年を取り戻そうとしますが、それは物理的には無理なことです。初めて鏡を見たレナードが、中年になった自分の姿を見て愕然とするシーンは、強く印象に残っています。
それでも家族にしてみれば、奇跡が起きたようなものです。同じ薬を投与された他の患者も目覚め、失われた時間を取り戻そうとしています。時間の経過に従って『生きる』ということが、どれだけ貴重なものかを痛感させられます。自然に老いることが、どれほど幸せなのか。
久しぶりに観ても、涙がとめどなく流れる素晴らしい映画でした。全力で患者を助けようとするロビン・ウィリアムスの演技に感動で心が震えます。そして必死で時間を取り戻そうとするレナードを演じたロバー・デ・ニーロには、賞賛の言葉しか出てきません。この映画で主演男優賞にノミネートされたのは当然でしょう。
朝目覚めて、昨日に続いた今日であることはどれほど幸せなことか。普段はそんなことを考えることはありません。辛いことが続くこともあります。でも『時間』というものを感じつつ生きていけることは、実はかけがえのない貴重な経験をしているのかもしれません。この映画を久しぶりに観て、そう感じました。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。