ハドソン川の奇跡
「タイミングだ」という主人公のセリフが、物語を大きく展開させる映画がある。
そのセリフのように「なんというタイミングの良さ!」と思わずうなったのが昨日のボク。なぜなら急に思いついてTSUTAYAに寄り、会員の年度更新を済ませた。するとDVDが1枚だけ無料で借りることができる。
どうせ借りるならば、値段の高い新作がいいよね(セコイ〜〜!)
ふと目についたのは、映画館に行けなかったけれど、ずっと観たいと思っていた映画。最近意図的にクリント・イーストウッド監督作品の映画を観ていたのは、その作品の監督だからでもある。
本当は今日の25日からレンタル開始だというのに、昨日の24日の段階で店頭に並んでいた。まさにグッドタイミング! つまりまだ誰の家にも行っていないDVDを借りてきたということ。
『ハドソン川の奇跡』(原題: Sully)という2016年に公開されたアメリカ映画。
2009年の1月に起きた、航空機がニューヨークのハドソン川に不時着するという実話を映画化した作品。
2012年に公開された映画で、デンゼル・ワシントンが主演した『フライト』という映画がある。その作品も航空機が機長の機転によって胴体着陸して乗客の命を救ったという映画。でも作品のテーマは航空機事故ではなく、アルコール依存症との戦いという、ヒューマンドラマをメインにした作品だった。
ところが『ハドソン川の奇跡』は、機長の判断は乗客の命を救ったのか、それとも危険にさらしただけなのか、を真剣に問いかけた作品。それもほぼ事実に基づいて再現されているので、そのリアリティの高さは半端ではない。
実話なのでネタバレの心配はないから書いてしまうと、乗客乗員155名の命を救ったのは、間違いなく機長の判断のおかげだということが証明されている。それは映画の話だけではなく、事実としてそうであるということ。
ところが当初はそうではなかった。事故調査委員会がコンピュータでシミュレーションをすると、事故の直後にラガーディア空港へ引き返すべきだったという結果が出た。真冬のハドソン川に着陸すれば、無事に着水できても乗客を死なせてしまうかもしれないからだ。
つまり機長のサリーはヒーローなんかではない、というのが事故調査委員会の見解。映画でもその苦悩が見事に描かれている。サリーを演じたのはトム・ハンクスだが、俳優の彼を忘れるほど見事な演技だった。155人全員が無事だったことを知った瞬間のサリーの表情は、思い出しても涙が出てくる。
さらに副機長を演じたアーロン・エッカートも最高! 昔から好きな俳優さんだったけれど、最近の演技はさらに円熟味が増したように思う。これまたアーロンだということを、映画を見ている最中に忘れてしまうほどの名演技だった。
そしてサリーの妻を演じたローラ・リニーも、本当に素敵な女優さんだなぁ。『ラブ・アクチュアリー』のころに比べると年齢を重ねた感はあるけれど、まだまだとても魅力的だと思う。電話のシーンばかりで、トムとの直接の共演がなかったのがちょっと残念。
さてサリーは、どのようにして事故調査委員会の非難を退けることができたのか?
それが最初に書いた「タイミングだ」というサリーのセリフに隠されている。
このような事故が起きた場合、副操縦士はQRH(クイック・リファレンス・ハンドブック)というものを開いて、機長と一緒にチェックする。これはかなり時間を要する作業だが、サニーと副操縦士のジェフはそのとおりに行った。
ところがコンピュータのシミュレーションでは、その時間を考慮に入れていない。人間が緊急時にどのように反応するかという要素が抜け落ちていた。その時間を計算に入れてシミュレートすると、ほぼ間違いなく市街地に墜落することが証明された。
もし基調がサリーじゃなかったら、副操縦士がジェフじゃなかったら、さらにすぐに事故に気づいてかけつけたフェリーや警察航空隊たちがいなければ、確実に死者が出ていた。最後の最後で、そのことをトム・ハンクスが公聴会で熱弁する。
DVDの特典映像で、本物のサリーと妻、そしてジェフのインタビューがあった。映画を見た後だから、この出来事の恐ろしさと同時に起きた奇跡を、とてもリアルに感じることができる。
評判どおり、いやそれ以上に素晴らしい映画だった。監督のクリント・イーストウッドは、この映画のために本物のエアバスを購入したらしい。救命ボートも同じものを使い、ニュースキャスターやパイロットなど、当時の救出に関わった人たちを本人役で出演させている。
だからエンドロールには、himself等の文字がいくつも見られた。それだけリアリティにこだわった作品だということ。明日に返却しなければいけなので、今夜眠る前にもう一度観ておくつもり。これから先も、クリント・イーストウッド監督作品は見逃せないかもね〜!
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