主人公は、ニューヨーク
う〜ん、時期を見誤ったかな?
先日観た『ニューイヤーズ・イブ』という映画が気に入ったので、同じ監督で同様の構成で作られた『バレンタインデー』という映画を借りに行った。つい先日まで、たくさん並んでいたから余裕で店内へ。
ところがブルーレイ1本を残して他のDVDはすべて貸出中。ブルーレイだと我が家では観られないんだよ!
バレンタインデーまで2週間あまりとなったので、急に思い立ってこの映画を借りる人があったのかもしれない。土日明けの月曜日というのがマズかったかも。う〜ん、残念。
でも頭のなかがオムニバスになっているので、何としてもこの手の映画を観たい。そこでパッと目についた映画を借りてみた。
『ニューヨーク、アイラブユー』という2009年のフランス・アメリカ合作映画。
この写真にも書かれているように、オーランド・ブルーム、ナタリー・ポートマン、クリスティーナ・リッチ、シャイア・ラブーフ、アンディ・ガルシア、イーサン・ホークという、ハリウッドのオールスターキャストで作られた作品。
その他には、『スター・ウォーズ』で若き日のダースベイダーことアナキン・スカイウォーカーを演じた、ヘイデン・クリステンセン。最新の『スター・トレック』シリーズで印象深い乗員を演じていたアントン・イェルチン。
『ハングオーバー』等のコメディ映画で有名なブラッドリー・クーパー。先日亡くなったばかりのジョン・ハート。そして『荒野の七人』では悪役のボスとして、『ホリデイ』という最近の映画では老人の元脚本家を演じたイーライ・ウォラックという豪華な出演陣。
ところが『ラブ・アクチュアリー』や『ニューイヤーズ・イブ』とはすこしちがう雰囲気をもつ映画となっている。人によってはつまらない、と感じるかもしれない。各物語がひとつにつながってスッキリする、という感覚を味わえないせいかもしれない。
その理由はいくつもの短編によって織り成された群像劇だから。『愛』がテーマであるのはまちがいないが、どれも明確なオチがある物語ではない。だからわけのわからないまま終わってしまう、と感じる人がいるだろうと思う。
さらにそれぞれの短編は、ちがった監督によって撮影されている。統一感がないのはそれが理由でもある。全部で12人の監督がメガホンを取っている。そのなかには女優のナタリー・ポートマンや日本人の岩井俊二監督も含まれる。オーランド・ブルームが出演するのは、岩井監督の作品。
でも、ボク的には実にいい映画だと感じた。もう一度じっくり観たいとは思うけれど、かなりハマるかもしれない。観終わった後の最初の印象はこうだった。
この映画の主人公は、ニューヨークだ!
そう、これは人物を足がかりにして、ニューヨークという街を描いた作品だと思う。人種のるつぼであり、ダンサー、音楽家、画家等のアーティストが集まる街。そして世界最大の株式市場を運営する成功者たちの街であり、対照的に古くからのスラム街も存在する。
そんなありのままのニューヨークが、複数の短編ドラマを通じて見事に描かれている。そこで暮らす人間を追いかけることで、ニューヨークという街を浮き彫りにした映画なのだと思う。観光客としてではなく、そこに暮らす人間の視点でニューヨークを知ることができる。
思っていた映画とはちがったけれど、いい作品に出会えたと思う。何度も観ることで、さらに魅力が増す映画だろう。この映画と同じコンセプトで、パリを描いた『パリ、ジュテーム』という映画があるらしい。そちらの作品も、いつか観ようと思う。
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