SOLA TODAY Vol.159
いつか使うだろう、と思ってすぐに使えない物を保管しておくとどうなるか?
気がつくと、家のなかが不要なもので埋まってしまうよねw
だけど歴史的な遺産においては、どうしようもないと思っていた物が、科学の進化によって貴重な資料になることがある。まさにそのとおりの記事を読んだ。
260年前のこと。紀元79年ベスビオス火山噴火で灰に埋もれた巻物が発見された。約2000年前の巻物で、古代ローマの都市ヘルクラネウムの書庫に保管されていたもの。もしうっかり手で触れたら、バラバラになって崩れてしまう状態だった。
実際にどんなものか、この記事から写真を転載させてもらった。
どう見ても、ただの炭の塊でしかない。強い風にあたるだけで、粉になって飛び散ってしまいそう。
ところが260年前にこれを発見した人たちは、いつかどうにかできると思って保存しておいたらしい。それがすごいよね。
ボクの性格なら、まちがいなく処分していると思うw だって、どう考えても歴史的に意義のある資料になるとは思えないから。ましてや260年前だよ。科学的な知識が乏しいから、普通は諦めてゴミにしちゃうだろう。
でも保存されていたおかげで、2000年前の巻物を読むことができるようになった。イタリア学術会議の研究者たちが、X線による断層撮影技術を使って、巻物を広げた画像を作ることに成功した。
これは本当に素晴らしい。アナログ的には手がつけられない巻物をデジタル処理で開き、そこに書かれている文章を読むことができるなんて!
巻物のうち2巻は、古代ローマの哲学者フィロデモスが修辞学について書いた内容で、現在、古代ギリシャ語から英語への翻訳作業が進んでいるとのこと。
この記事を読んで感心したのは、解読に成功した現代の研究者たちだけではない。260年前にこの黒い塊が発掘された時、いつか将来のために保存しておこうと決めた人たちの、将来を見すえた的確な判断に驚きを超えて感動してしまった。
この技術は提供すると発表されているので、他にも新しく読み解かれる資料が見つかるかもしれない。うっかり処分してしまった人たちは、もしかしたら後悔しているかもね。
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