結果を出した人だけが語れる
過去に書いた自分のブログを読み返すと、恥ずかしくて赤面することがある。それどころか、うんざりして虫唾が走り、思わず削除したくなる。
それは人生論的なことを語っているとき。これはスピリチュアル的なことに関心を持っている人が陥りやすい、負のパターンだと思う。
スピリチュアルなことは、他人から聞き及んだり、本で読んだ知識を集めてブレンドすることで、まるで自分が考え出したかのように語ることができる。成功するにはこうするべきだ、人生で有意義なことを引き寄せるのはこうすればいいと、まるで人生のアドバイザーのように自分のことを持ち上げてしまう。
元の言葉がそれなりの価値を持っていたりするから、人の心を動かすことはある。だけど、やはり伝えるのが『誰』なのかは無視できない。
その人の経験に裏打ちされていないと、どれだけ耳障りのいい言葉を並べても、所詮は借り物でしかない。誰もが黙るような圧倒的な結果を出していない限り、その分野について専門家的なことを書くべきではない。それは誰かの人生をかえって迷わせることになってしまう。
自分の心のなかは仕事やお金のことで不満や不安がいっぱいなのに、他者に対してはこうすればうまくいくと簡単に言ってしまう。ましてやそうした欺瞞や矛盾を抱えたままで、お金を取っている人だっている。おそらくそこに集まっているのは、自分たちの傷を舐め合って自己満足にひたっているだけの人たちだと思う。
ボクが自信を持って書けるのは、体外離脱と明晰夢くらい。それに関してはある意味結果を出している。でもそれ以外のことについて、人生論的なことを語ることをやめている。
だからご存知のとおり、最近のボクのブログは映画や本、あるいはネットで流れている記事を取り扱ったものがほとんど。それは自分が経験したり、感じたり、考えたりしたことだから。
自分自身が壁を越えることに毎日必死なのに、壁を超えたフリをしてそのノウハウを語るなんてことはできない。
もし目の前の壁を越えることができたと実感したら、自信を持ってそのことについて語ると思う。だけどその次の壁については、実際に越えるまでは語らない。壁はいくつもあるからね。
そんなとてつもない大きな壁をいくつも超えた人物が書いた本を読んだ。この著者なら何を言ってもいい、と思える内容だった。
『芸術起業論』村上隆 著という本。
ボクは恥ずかしながら存じ上げなかったけれど、村上さんは知る人ぞ知る著名な芸術家とのこと。それも日本ではなくアメリカのニューヨークでブレイクしている。彼の作品が1億円で落札されたこともあるらしい。
かなりアクの強い文章なので、読んでいて気圧されるような印象を感じる。それはその背景にある努力が、想像を絶するものだからだと思う。だけど日本の美術界についての辛辣な意見は、ある意味小気味良くて気持ちいい。
その言葉にうなずけるのは、結果を出しているからだと思う。そうでなければただの愚痴でしかない。結果を出すことに徹底的にコミットしている方なので、文章の一つ一つが心にズシンと響いてくる。
著者を批判する人は「村上はカネのことばかり考えている」と言うらしい。でもそんな批判が負け犬の遠吠えであることは、この本を読めばよくわかる。絵画等の芸術品がどのようにして海外で流通するか、世界に認めらていくかを研究し尽くしたからこそ、それに対応した芸術活動をされているだけだろう。
この本の最初に作品の写真が掲載されているが、実にユニーク。日本独自のオタク文化をアートに取り込んでいる。過去の欧米の美術に追従するのではなく、その歴史をふまえた上で、日本人としての新しい世界観を発信されている。
著者が書かれていることは芸術分野だけでなく、あらゆることに共通している内容だと感じた。結果を出した人はこのように語るんだ、と言うことを知りたい人は、ぜひとも読むべき本だと思う。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。