武士の献立
ここしばらく月末までは、脳みそが煮えたぎっているので、ブログの記事がまとまりのないものになるかも。
集中して小説の世界に入っていると、そこから帰還するのに苦労する。おまけにその小説は複数の世界が交錯している物語だから、戻ってきたら現実世界と混ざってカオス状態になっている。そういう事情で脳みそが煮えたぎっている。
3月も残すところ一週間だというのに、まだ肌寒い日が続いている。昨日撮影した木蓮(コブシかな?)は、ようやく花を開き始めたけれど、桜のつぼみはまだ硬いよなぁ。
今日は自宅にこもってひたすら仕事をしていたけれど、真冬のような感覚だった。身体は冷えているのに、脳みそはグツグツと煮えている。そんな頭を少し落ち着かせるため、午後から映画を観た。いやぁ、めちゃめちゃいい映画だった。
『武士の献立』という2013年の日本映画。『武士の家計簿』という有名な作品があるけれど、それに準ずる作品とのこと。
予備知識なしで観たけれど、こんなに面白い映画だとは思わなかった。特に主演している上戸彩さんと、相手役の高良建吾さんが最高!
高良さんは2年前の大河ドラマで彼の高杉晋作役を見てから、大好きになった俳優さん。登場したとき、思わずガッツポーズをしてしまった。
上戸さんが演じるのは出戻りの女性。ただし超人的な舌と、抜群の料理の才能を持っている。それを見込んだ西田敏行さんが扮する舟木伝内に、自分の息子の嫁に来てもらえるように必死で頼まれる。
その息子の舟木安信を高良さんが演じている。父子とも実在の人物で、江戸時代の加賀藩の料理人として名を馳せている。彼ら藩の料理人は、侍でありながら刀ではなく包丁を持つことで、「包丁侍」と揶揄されている。
ところが藩政において重要な出来事があるとき、他の大名に対する「饗応料理」の献立を考えたり、その料理の指揮をする役職で、とても重要な仕事だった。でも安信はそんな「包丁侍」が大嫌いで、必死で剣の腕を磨いていた。
なぜなら次男坊だったので、どこかの武家の娘に養子に行くつもりだったから。ところが長男が病死したことで、必然的に舟木家を継がなくてはいけない。いやいやながら包丁を握っているので、仕事に身が入らない。
そこで父親の伝内が春に目をつけ。息子の安信を助けてやって欲しい願う設定になっている。
とにかく美味しそうな日本料理が次から次へと出てくるので、空腹では見られない映画かもwww
さらに単なる藩の料理人の物語ではなく、当時加賀藩で起きた有名な内紛である「加賀騒動」も絡んでくる。安信は包丁を捨てて刀を取るかどうか、という葛藤に苦しむことになる。
とても心温まる映画で、清々しい気持ちになった。やっぱり高良さんは若いのに存在感があっていいよね。さらに上戸さんの見事な演技が加わることで、完璧な作品になっていると思う。
想像していたよりはるかに素晴らしい映画だった。ラストは予想どおりだったけれど、だからこそ良かったと思う。とてもいい気分転換になった。
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