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高羽そらさんインタビュー

勇気に心から拍手を送りたい

昨日以上に今日は快晴。リビングから見える大阪湾は完璧なブルーに彩られていて、いくつも浮かぶヨットの帆をいつもより白く際立たせている。

 

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桜は終わったけれど、今はハナミズキが満開。JR六甲道近くの住宅街には、この木が街路樹として植えられている道がある。この時期はそれらの通りが輝いて見える。

 

こんな見事な晴天なのに、ボクは引きこもりで仕事をしている。でも基本的に引きこもりが好きなので仕方ない。あるツイートで見たけれど、引きこもりの人が将来認知症になっても、徘徊する可能性が低いらしい。

 

根本的に引きこもりの人は、いつまでも同じなんだね。ということは、ボクは徘徊老人にならないだろうなぁwww

 

そんな引きこもり人間の気分転換は、やはり映画。今日の映画は、この作品に関わった人たちの勇気に対して、心から拍手を送りたいと思った。

 

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『わが青春に悔いなし』という1946年の日本映画。主演は原節子さん。

 

原節子さんといえば、すぐに思い出すのは小津安二郎監督。ところがこの映画の監督は黒澤明さん。

 

黒澤作品はすべて観たと思い込んでいたけれど、この作品は見逃していた。そうなると原節子さんと黒澤さんの組み合わせが気になる。それで観ることにした。

 

映画のスタートは昭和8年の京都大学。数人の男子学生と大学教授の娘である原節子さん演じる幸枝が登場したときは、昔の青春映画かと思い、ちょっと後悔した。ところがさすが黒澤明さん。

 

この映画はとても重いテーマを扱っている。日本では満州事変が起こり、世界中にファシズムの嵐が吹き荒れていた時代。そして太平洋戦争へと突入していく。

 

幸枝の自宅に出入りしていた学生は野毛と糸川。二人とも幸枝の父に感化され、学びの場の自由を守るため、学生運動を主導していた。これは実際に起きた滝川事件がモデルにされていて、大勢の学生が逮捕されている。

 

しかし時代に迎合した糸川は運動と距離を置くが、野毛は刑務所に入ることになる。そんな二人と幸枝の三人の人生を描いた物語。

 

最終的に幸枝は野毛と結婚するが、野毛はスパイの疑いで投獄され獄死する。これはゾルゲ事件というスパイ事件がモデルになっている。

 

一方、糸川はそのスパイを摘発する側の検事として働いている。幸枝はスパイ容疑の夫に対する強烈な差別に耐えながら、野毛の両親を助けていく。短い文章で表現するとあまり悲惨さを感じないが、映像にはその差別の酷さが克明に描かれている。

 

戦争が終わり、幸枝と糸川の立場は逆転する。最後まで自分の意思を貫いた幸枝の強さに感動して、ラストでは涙が流れてきた。戦争が終わったときにテロップが出るが、『終戦』ではなく『敗戦』と書かれている。黒澤さんの戦争に対する強いメッセージを感じ、その勇気に感銘を受けた。

 

だって公開されたのは昭和21年だから、撮影していたのは戦後まもないころのはず。まだ日本人の心のどこかに、戦前の洗脳思想が残っていただろう。そんななか、はっきりと『敗戦』と明示したことは、すごいとしか言えない。

 

これは本当にいい映画だと思う。まだ観たことがない人は、ぜひ一度は観て欲しい。戦争に突入する前の世界が、現在の東アジアの状況と重なっているのを感じる。

 

そしてこの映画の見どころは、京都のロケ。京都は本格的な空襲を受けなかったから、撮影が可能だったのだと思う。京都に暮らしていたボクにとっては、生まれる前の京都の記録映画を観ている気分だった。

 

さらにまったくイメージのちがう原節子さんに会うことができる。小津安二郎さんの映画では貞淑な妻だとか、ひとり親を思って嫁に行かない女性を演じていることが多い。

 

でもこの映画の原節子さんは自由奔放で、感情を隠さない。ちょっと精神がヤバい女性に見えたりする。ところがとんでもない心の強さを持っている。

 

自由というものには、多大な努力と責任感が必要だという父の言葉どおりに、自由のために自分の人生を命がけで生きていく。その激しくも美しい姿を描くモノクロの映像美は、まちがいなく黒澤映画だった。いやぁ、本当にいい映画だったなぁ。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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