どんなことも終わり方が大事
ネットを始めたのは17年ほど前になるけれど、そのころメールのポイントサービスに加入した。送られてきたメールのリンク先をクリックしたり、アンケートに答えるとポイントが貯まるもの。
これまでそのポイントを商品と交換したり、Amazonギフト券に代えて使ったりしていた。でも最近は時間を無駄にするだけなので、ボチボチ解約しようと考えていた。ところがポイントがまだ残っている。そのまま捨てるのはもったいない。
ギフト券に交換しても、一度に交換できる量が制限されてるので面倒。一気にポイントを使う方法はないだろうか?
そんなことを考えている一昨日、愛用していたコーヒーメーカーが突然壊れた。外国の有名メーカーの商品だけれど、4年ほど毎日使っている。実はこれもこのポイントで交換した商品。
とても治りそうにないので、ポイントサイトの商品交換をチェックしてみた。すると笑っちゃうことに、まったく同じ商品の交換に必要なポイントが、ほぼ残っているものと同じ。もう少しだけポイントを加算すれば、残ポイントなしで解約できる!
ということでこの2日、せっせと普段は無視しているアンケートに答えたり、クリックをくり返した。(『クリックをくりかえす』って、なんだか面白い言い回しw)
そして今日の午後、指定された交換ポイントに到達。速攻で新しいコーヒーメーカーと交換した。2週間後には到着する予定。残ったポイントは10ポイントあまり。
これほど気持ちのいいことはない。全財産を使い尽くして人生の大往生を迎えたような気分!
まぁ、よりによってコーヒーメーカーが壊れたものだと思う。タイミングが良すぎて笑うしかない。とにかくきちんと終わることは気持ちがいいし、やはり大事なことだと思う。
ところが途中まですごく良かったのに、終わり方に難のある映画を観た。
『ある日どこかで』(原題:Somewhere in Time)という1980年のアメリカ映画。もう故人だけれど、ボクの世代では『スーパーマン』のイメージが強い、クリストファー・リーヴが主演している。
初見だったけれど、ボク好みのストーリー。主人公のリチャードは脚本家で、映画の始まりは1972年。自分の作品が舞台で上演されたあと、ある老女が会いにくる。そして「戻ってきてね」と言って、古い懐中時計を彼に残した。
その8年後リチャードがグランドホテルに宿泊したとき、その記念館に残された写真に釘付けになる。1912年にそのホテルである舞台が上演され、そのときの主演女優であるエリーズの写真だった。
8年前に時計を渡した老女がその女優であることを知るが、すでに8年前に亡くなっている。「戻ってきて」という言葉どおり、彼は1912年に旅立つことになる。そう、まさにタイムトラベルの物語。
60年前のグランドホテルで二人は出会い(再会かも?)、恋に落ちる。ところがあることがきっかけで、リチャードは1980年に戻ってしまう。もう過去に行くことはできない。
そこでエンディングなのだけれど、どうなると思う?
生還するかどうかわからないけれど、リチャードが臨死体験をして、まだ若いエリーズと抱き合うシーンで終わる。おいおい、それはあかんやろう!
こんなスッキリしない終わり方は、めちゃ気持ち悪い。そもそも『死』を解決策にするという手法が大嫌いなボク。
惜しい映画だよね。途中までは完璧だったから。それだけにもったいない。
ボクならラストで、1912年からエリーズが1980年にやってくるシーンで終わりたい。リチャードができたんだから、彼女にもできるはず。
あるいはリチャードが別れの辛さを受け入れ、二度と会えない彼女をイメージした素晴らしい脚本を書いて有名になってもいい。
別のパターンとしては、現代に戻ったらリチャードは年老いていて、すぐとなりに同じく年老いた妻のエリーズがいる、というエンディングもいい。
どちらにしても死なしてはいけない。モヤモヤして気持ち悪い。やっぱりポイントメールも映画も、終わり方が大事。スッキリ終われるのが一番だと思うのだけれどね。
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