受難は幸せの扉
家具のニトリで欲しいものが、いくつかあった。ということで、隣町の神戸市東灘区御影にニトリの大型店があるので、散歩を兼ねて徒歩で出かけた。昨日たまたま妻がネットを見ていると、その途中に新しいベーカリーショップがオープンしているのを発見。ランチはそこで食べることにした。
『ブロートバール・セセシオン』という、なんとも覚えにくい名前。だけどパンに関してかなり舌の肥えているボクたち夫婦が、オォ〜とうなるほどの美味しさだった。席数は少ないけれど、イートインできるようになっている。
経営しているのは、神戸ではコーヒーショップとして有名な『にしむら珈琲」。だから飲み物もかなり美味しい。神戸の御影といえば、ベーカリーショップや洋菓子店の激戦区。だけどこの品質とお店の雰囲気なら、かなりいい線を行くと思う。また近いうちに食べに行くつもり。
そしてニトリで買い物を済ませると、久しぶりにやって来たお店でオヤツを食べた。
『こより』というお店なんだけれど、ここの「どら焼き」が大好き。チーズケーキかと思うほどフワフワで、あんこも自家製なので最高。外は夏の暑さでかなり疲れたけれど、久しぶりの買い物と外食を楽しむことができた。その分、今日の夜は仕事が待っている。
さて、昨日は素敵な映画を観た。
『ミュージック・オブ・ハート』という1999年のアメリカ映画。メリル・ストリープの出演している映画はできる限り観るようにしているけれど、この映画は見逃したままだった。こんな素晴らしい映画なのに、今までなぜ観ていなかったのだろう?
実話を元にした作品。主人公のロベルタは、若いころはバイオリンで生きて行くことを目指していた。だけど軍人の夫と結婚して、子供を二人もうけて普通の主婦として暮らしていた。そのロベルタをメリル・ストリープが演じている。
ところが夫は恋人を作り、家を出てしまう。ロベルタは必死で夫に戻ってきてもらおうと思うけれど、どうにもならない。なんとかして子供たちを育てる生活費を稼ぐために、嫌々ながら仕事につく。
その職場で昔の知り合いだったブライアンという男性に出会い、得意にしているバイオリンの技術を活かす仕事を紹介してもらう。それはニューヨークのスラム街にある公立小学校の臨時教員だった。
子供たちは心が荒んでいて、その親たちも同じ。最初はバイオリンを教えるなんて、まったく無理なことだと思われた。だけどロベルタはくじけず、バイオリンの指導者としての才能を発揮する。その努力が実り、保護者たちから絶賛を浴びることになる。
それから10年も臨時教師を続けたが、突然クビの宣告を受ける。予算が削減されることになり、課外授業的なものから切られることになったから。またしてもロベルタに受難が襲いかかる。
ところがたまたま取材に来ていた雑誌記者の夫が有名なバイオリニストで、全米の誰もが知っている有名な音楽家を集めてチャリティコンサートをすることになる。そうしてバイオリン教室の費用を作り、たとえ1年でもいいからもう一度教室を続けようとする。
だが引き続き災難が起きる。予定していた会場の水道管が破損して、まったく使用不能になった。チケットは売れていてどうしようもない。そんなとき、再び音楽を愛する著名人たちが助け合った。その結果コンサート会場が決まった。
それはなんと、カーネギーホールだった〜〜!
参加するのは教え子の子供たちだけでなく、世界でも名の通った音楽家たち。こんなことが本当にあったなんて、映画を観ていて驚いた。そして感動して涙が止まらなかった。
カーネギーホールへ向かう車のなかで、ロベルタの母親が言ったセリフが印象に残っている。
「チャールズ(ロベルタの元夫)に感謝しなければね」
元はと言えば、夫が外で恋人を作って家を出たことが始まり。もしその事件がなければ、ロベルタは普通の主婦のままであり、音楽で人生を救われたスラム街の子供たちの人生も悪い方向に進むだけだった。それほどひどい地域だったから。
さらに会場が使えなくなったおかげで、カーネギーホールというクラシックの演奏家なら誰もが憧れるステージに立つことができた。彼女にとって受難は、幸せの扉だったということ。この映画を観ていて、そのことをもっとも強く感じた。
人生は思うようにいかないことが多い。突然やって来た不幸な出来事によって、打ちのめされて絶望することもある。
だけどロベルタは立ち止まらなかった。受難を幸せの扉にできたのは、その彼女の生き様のおかげだと思う。
どんなことにも、起こる理由がある。辛いことが自分の身に起きたとしても、自分が本当に求めて来たものを実現するための通過点かもしれないのだ。この映画を観ていると、言葉にできない勇気がわいてくる。
だってフィクションじゃなくて、実話だからね。こんなことが実際に起きたということに感動する。本当に素敵な映画だった!
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