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高羽そらさんインタビュー

死に直面する勇気

ついに梅雨明け。夏が来たよ!

 

ずっと梅雨明け気分だったけれど、改めて宣言されると厳しい暑さが身にしみるような気がする。毎日暑いけれど、今日も本当に暑い。

 

少しでも涼しくなる写真をアップしよう。

 

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JR六甲道駅前にあるパチンコ屋さんに置かれていた貞子の人形。実は一昨日まではこの人形がモロに外へ置かれていた。あまりに気持ち悪いので写真に撮ろうと思っていた。

 

でも今日行ってみると、この写真のようにディスプレイされて建物内に移動していた。梅雨明けを迎えて、貞子も涼しい場所に移動したんだろうねw

 

貞子といえば『リング』という小説に登場する幽霊だけれど、この世に未練があるから、あるいは誰かに対する恨みがあるから、テレビ画面から抜け出すようなことになってしまった。それほど死というものを、受け入れることは難しいということだろう。

 

そんな死に対して真正面から取り組んだ本を読んだ。これはとても素晴らしい本で、読んだ人は人生観が大きく変化するはず。それほどのパワーを持っている。

 

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『死すべき定め 死にゆく人に何ができるか』アトゥール・ガワンデ著という本。

 

タイトルだけを見ているとまるでスピリチュアル系の本のようだけれど、まったくちがう。著者は現役の医者であり、ハーバード大学の教授でもある。それだけにこの本が読者に見せつける真実は、ある意味破壊的かもしれない。

 

人間というのはいつか必ず死ぬ。そんなことはわかっている、と誰もが答えるだろう。だけど本当にわかっているだろうか?

 

現代医学が発達する以前は、人間が老化して病になると、死を迎えるまでの期間が短かった。あぁついに自分の死ぬときが来たか、と感じてから実際に死ぬまでの時間は驚くほど近い。

 

だけど医学の進歩によって、病と実際の死の瞬間までの時間がかなり伸びている。昔なら死んでいたような人が、今は少しでも長く人生の時間を引き延ばすことができる。だからこそ、その時間をどのように過ごすべきか、ということが問われている。

 

どれだけ医学が進歩しても、人間はいつか死ぬ。死というものに対して、いつの日か医者は屈服する瞬間を体験する。現実的な話をすると、病気になったとしても、実際に息を引き取るまでの時間をいくらか伸ばせるだけ。その事実を直視している人は、それほど多くはない。

 

この本は『死すべき定め』と直面した人たちの実話が紹介されている。それは著者が対応した患者であり、彼の家族でもある。

 

『今を犠牲にして未来の時間を稼ぐのではなく、今日を最善にすることを目指して生きることがもたらす結果』に対して、失敗例、成功例がそれぞれ記されている。

 

治療という名のもとに肉体をチューブ付けにすることが、本当に価値のあることなのか? これは以前から指摘されて来たことだけれど、単なる概念ではなく実例として目の当たりにすることができる。ボクはそれらを読みながら恐怖を覚え、他人の悲しみや苦しみを感じつつ、一方で感動の涙を流した。本当にすごい本だと思う。

 

この本に出て来た『ピーク・エンドの法則』というものが心に残っている。人間の感覚というものは不思議で、実際の経験と記憶に残った経験とにはちがいがある。これは苦痛でも快感でも同じらしい。

 

ある一定時間に、苦痛でも快楽でもいいから経験したとしよう。痛い、あるいは気持ちいい、という感覚を感じた時間が長いほど、その経験は苦痛に満ちたもの、あるいは喜びに満ちたものだと答えると思うだろう。でも実際はちがう。

 

人間は経験したピーク状態の経験と、その経験が終了する直前の経験の平均を記憶するらしい。これはスポーツを例えにするとよくわかる。

 

サッカーを見ていて、前後半の90分のうち応援するチームが有利にゲームを進めていたら楽しいと感じるだろう。だけど後半のアディショナルタイムで逆転されて負けたとしたら、その試合を楽しいと思うだろうか? おそらく最悪の試合だったと感じるはず。

 

90分のうちのたった数分の経験で感想が変わってしまう。人間の苦痛も快楽も、そのときに体型したピークの状態と最後の瞬間との平均が大切になってくる。ここまで書けば、勘のいい人はわかるはず。

 

そう、人生という経験において、最後をどのように過ごすかが重要だということ。そのためには、『死に直面する勇気』が必要だと著者は言う。

 

老と病いにあっては、少なくとも2種類の勇気があるらしい。

 

一つ目は、死すべき定めという現実に向き合う勇気。人間はいつか必ず死ぬ、ということを直視する勇気だろう。いつの日か身体の機能がすべて停止して、どんな医者でも対応できない瞬間が来る。

 

二つ目の勇気はさらに厳しい。死すべき定めという現実に向き合ったすえ、それによって得た真実に則って行動する勇気。死に際して本当に自分が望むことを知り、それに向かって実際に行動するための勇気がどれほど厳しいか、実際にその瞬間にならないとわからないだろうと思う。この本を読んでそう感じた。

 

老人ホームやホスピスについて、この本は現代のアメリカが抱えている問題だけでなく、新しくて明るい展望も示している。実際に実現しつつあることも書かれている。日本とは事情がちがうだろうけれど、参考になることはあるはず。

 

今書いている新作が終われば、この本を読んで感じたことをテーマにした小説を書こうと思っている。医師が書いた本なので専門的な記述が多けれど、大勢の人に読んでもらいたいと感じた。精神的なことしか触れないスピリチュアル系の本を読むより、よほど勉強になるはず。

 

読んだ人は、きっと人生観が変わるよ。

 

decoration/dcr_emoji_238.gif『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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