前しか見ていない人たち
神戸はここ数日、梅雨が戻ったような天気で雲が取れない。だけど日が照らないから意外に涼しい。昨日も書いたけれど、夜になると冷たい風が吹くので快眠を確保できている。
だからネットで論争になっている鰻を食べるほどスタミナ不足にならない。そもそもスーパーの鰻なんて、食べたいと思わない。去年、かなりいい鰻をスーパーで買ったけれど、もうええわ、というのが正直な感想だった。どうしても鰻を食べたいときは、専門店に行って食べるに限ると実感した。
その代わりと言ってはなんだけれど、今日は土用餅を食べた。お餅が美味しい馴染みの和菓子屋さんで購入。想像以上に美味しくて、満足、満足。中途半端な鰻を食べるより、よっぽど身体にも心にもいいと思う。
そもそもこの時期に鰻を食べるというのは、平賀源内の気まぐれが理由なのはよく知られていること。まぁ、それほど夏の暑さに負けずに、モチベーションを高めたいということだろうね。そういう意味では、鰻を食べるよりも、ぐっとモチベーションが高くなる本がある。
『仕事。』川村元気 著という本。映画プロデューサーであり、作家でもある川村元気さんの対談集。
この本の主旨は、川村さんの年代である30代〜40代の人に対して、今の年齢でどのように仕事に取り組むべきかを、各業界の先人に尋ねるという企画。その年代をどのようにして過ごして来たか、それぞれの人が語っている。
そのメンバーたるや、そうそうたるもの。
山田洋次さん、倉本聰さん、秋元康さん、宮崎駿さん、糸井重里さん、篠山紀信さん、横尾忠則さん、坂本龍一さん他の12人。
仕事に関して、川村さんがわざわざ『仕事。』と句読点をつけられていることには意味がある。そのことについて、川村さんの書いた文章を抜粋させてもらう。
以下抜粋〜
大人になってからの、ほとんどの時間。
つまり生きているほとんどの時間、僕らは仕事をしている。
だとしたら、僕は金のためではなく、人生を楽しくするために仕事をしたいと思う。
心から「仕事がしたいです」と叫びたい。
そんな仕事を僕は「仕事」ではなく、「仕事。」と呼びたい。
人生を楽しくするために働く。
それが「仕事。」だ。
〜以上抜粋。
ボクもまったく同じ気持ちで仕事をしている。この文章を読むだけでもモチベーションが上がる。だけど本文を読むと、マジでぶったまげるよ。
この本でインタビューに答えている人たちは、尋常ではないパワーを持っている。「仕事。」に対する概念が、一般人とはかけ離れている。だから突き抜けているのだろう。
例えば秋元康さん。彼は今でも徹夜で仕事をしている。755というアプリで秋元さんをフォローしているので、また朝になったという書き込みをよく見かける。その秋元さんがこの本で、時間の過ごし方について述べている。
仕事の締め切りに追われているときにどうするのか、と川村さんが尋ねた。するとその答えは「寝なければいい」だった。もう唖然。そしてその通りの生活をされている。3〜4時間も眠れば十分とのこと。さすがに3日連続で眠らないと、方向感覚がおかしくなるらしいw
徹夜で仕事をして、朝の7時ころまでかかって締め切りの仕事を終わらせる。それから勉強を兼ねて映画を観るとのこと。そしてようやく午前9時に眠るらしい。とても人間だとは思えない。それだけの努力を重ねることで、あのとんでもないパフォーマンスを生み出しているのだろう。
そして12人にすべて共通していることがある。話の流れで30代のころの経験を語るけれど、すぐにそこから脱線する。そして『今』自分が興味を持っていること、さらに『未来』に自分が成し遂げたいことへと会話が進む。
彼らは決して過去の人ではなく、現在進行形の人たちだということ。うしろをふり返るなんて無駄な時間を費やさない。前しか見ていない人たちだった。
土用の丑の日に鰻を食べてスタミナをつけるのはいい。だけどこの本を読めば、絶対にモチベーションがギンギンになるよ。鰻なんで必要ない。
ボクなんてまだまだ甘いわ。もっともっとやれるはず。30代向けの本なのに、50代のボクが思い切り刺激を受けてしまった。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。