人生をやり直せるとしたら?
我が家の場合、夏の涼しい風は六甲山方面から吹く。だから北から西よりの風が、この時期にささやかな涼気をもたらしてくれる。
ところが昨日の午後から吹き始めた風は、反対方向の東から吹いている。いつもは天気が下り坂になるときの風なんだけれど、空はずっと晴れ渡っている。
とても不思議な風で、乾燥していて心地よくて涼しい。おかげで昨晩は気持ちよく眠れたし、今日の昼間も快適に過ごしている。もういい加減に止まるかな、と思っているのに、まだまだ吹いてくれている。
気温は34度くらいまで上がっても、この風があるとなんともないんだよね。ハワイとかのリゾート地って、きっとこんな雰囲気なんだろう。そりゃ一年中こんな気候だったら、かなり快適だと思う。いつまで吹いてくれるのかなぁ?
そんな快適な環境で、とても爽やかな気分になる映画を観た。
『ペギー・スーの結婚』(原題:Peggy Sue Got Married)という1986年のアメリカ映画。監督はフランシス・フォード・コッポラ。
この映画のタイトルも、コッポラ作品であることも知っていた。だけどなんとなく観る気がしなくて、ずっと放置していた映画。だけどちらっとストーリーを見ると、ボクが大好きなタイムスリップの映画やんか!!!
そして主役のペギー・スーを演じたキャスリーン・ターナーを取り巻く俳優陣の豪華さにビックリした。
夫役にニコラス・ケイジ。友人役にジム・キャリー、ジョアン・アレン、さらに娘役にヘレン・ハントが出演しているやんか!!! どうして今まで観なかったんだろう?
映画の年代からすると、全員がほぼブレイク前という貴重な映像。ニコラス・ケイジは髪の毛がフサフサしているし、ヘレン・ハントなんか『ツイスター』の10年も前だから、まだ少女の雰囲気が残っている。ジム・キャリーはいつもと同じだったので、それはそれで受けたwww
ペギー・スーは浮気した夫と別居中。もう離婚を決意しているときに、高校時代の同窓会にしぶしぶ出席する。夫のチャーリーや、今も交際している親友たちはその高校の出身。
その同窓会でクイーンに選ばれて壇上に上がったペギー・スーは突然意識を失って倒れてしまう。気がつくと、そこは25年前の高校生時代の世界だったという設定。
この映画の1年前に『バック・トゥ・ザ・・フューチャー』が公開されているから、ちょっと二番煎じの雰囲気は否めない。時代背景もほぼ同じだからね。
だけどこの映画が面白いのは、心は未来のままで過去の肉体に戻ったという状況。『バック・トゥ・ザ・・フューチャー』のマーティーの場合は、自分が生まれていない時代に行ったのだから、事情がかなりちがってくる。
つまりペギー・スーの場合は、人生をやり直せるとういうこと。
そして彼女は、本当にそうしようと決心する。夫との未来はあり得ないと思い、二人の交際をわざと引き裂こうとする。だけどそうなると、愛する子供たちにも会えない人生になってしまう。その彼女の葛藤が、コッポラらしいタッチで描かれていた。
結果的にはハッピーエンドっぽく終わる。過去に戻ったのは事実ではなく、気を失っているあいだの夢だと思うことも可能。だけど、本当にタイムスリップしていたとも取れるから面白い。やっぱり、こういう映画は好きだなぁ。ボクのツボにハマってしまう。
さて、あなたが同じ状況になったらどうするだろう?
その世界を『今の視点』で観察することは面白いと思う。だけどボクの場合、やり直したいと思わない。なぜなら今の自分が好きだから。
そりゃ高校生に戻って、今の意識状態で小説を書けばちがった人生になるかもしれないと想像できる。だけどそれは今のボクの人生じゃない。ちがった喜びは得られるかもしれないけれど、ちがった苦しみや悲しみが待っている可能性もある。
そんなボクだって過去に失敗もしているし、後悔することもある。だけど今の人生でしか得られなかったものも数えきれないほどある。だからペギー・スーが、葛藤しながらも元に戻りたいと思ったのがよくわかる。
誰だって精一杯生きて選択してきた結果、今の人生を過ごしているんだからね。それでいいやん。
過去に対する解釈を変えて、今の人生に生かすことはするべきだと思う。だけど、過去そのものを変えたいとは思わない。そう思えるボクは、幸せものだと言っていいのかもね。
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