事実としか思えない捏造
おいおい、もう9月20日だよ!
時間の経過が早すぎて、マジで戸惑っている。とにかくやることが多すぎて、1日が24時間だという事実を信じたくない気分。今月中に新作の初稿をあげようと思っているけれど、10万字を超えた段階から焦ってきた。このままだったら15万字を超えてしまいそう。
その割には加速度が増さないよなぁ。昨日もある法律のことが引っかかり、午前1時まで調べ物をしていた。まだネットがあるからいいけれど、そうでなかったら大変なことになる。
その結果ようやく調べがついて、その部分を今日になって書いた。だけどセリフにして、たった2行だよ。この2行を書くために、深夜まで夜なべをしていたという次第。そんなことをくり返しているので、なかなか前に進まない。とりあえずあと残る10日を全力で突っ走るしかないね。
昨晩にそんな遅くまで起きていたのは、もうひとつ理由がある。ある本が面白すぎて止まらなかった。どうしても最後まで読んでしまおうと思ったから。
『デセプション・ポイント』ダン・ブラウン著という本。
彼の作品としては、『天使と悪魔』と『ダヴィンチコード』という映画化された2作品のあいだに書かれた小説になる。映画のシリーズとちがってロバート・ラングドンが出てこない、これだけで独立した作品。
あまりに面白くて、読み出したら止まらなかった。ダン・ブラウンという作家は、いったいどれだけ知識の引き出しを持っているのだろう? 美術や宗教だけでなく、最新の科学技術から地質学まで、幅広い知識が小説に生かされている。どのようにインプットしているのか、マジで本人に訊いてみたい。
この物語はNASAを扱ったもの。現職のアメリカ大統領は支持率が下落していた。その最大の要因は、ライバル候補がNASAに無駄な税金が使われていることを指摘しているから。その予算を国民の教育に回すべきだと指摘したことで、次期大統領として支持を集めている。
ところがその対立候補は、民間の宇宙開発事業から賄賂を受け取っていた。その目的はNASAを民営化すること。その野望を知った現職大統領サイドは、とんでもない捏造を画策する。
それはNASAが古い隕石から、地球外生物の化石を発見したというもの。それはNASAの業績を証明するものであり、世界の歴史を変えることになる。その歴史的な発見をより権威づけるため、大統領は民間の科学者を隕石がある北極に派遣する。
科学者たちはその隕石が本物であることを証明する。ところがある出来事がきっかけで、その隕石が捏造されたものであることがわかる。その捏造を見抜いたのが、レイチェル・セクストンという、対立候補の娘だった。
隕石を捏造した黒幕は、そのことを隠蔽するためにレイチェルたちの命を狙う。真実は明かされるのか? 隕石を捏造した黒幕とは? そして大統領選の行方は? というようなことが連続するので、続きが気になって手が止まらない。
とにかく物語はかなり緻密に構成されている。隕石の捏造なんて、素人のボクでも無理だと感じた。ところがその科学的根拠を示すことで、捏造できることを小説で納得させている。さらにダン・ブラウンお得意の、政府組織の内幕も複雑に絡んでくる。
いつもながら見事な伏線が張られているので、ラストに近づけは近くど、読者はうなってしまうことになる。見事というしかない。ボク個人としては、著者の作品のなかでもっとも好きな小説になった。エンディングもかなりいい。
これでダン・ブラウンの作品を制覇してしまった。今年に出る『オリジン』は、いつ日本語に翻訳されるんだろう? 早く読みたくてウズウズしている。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。