本音で結ばれた絆は強い
ようやく冷たい空気が入り込んできたので、カレンダーどおりの季節に戻った神戸。しばらく異常な暑さだったからね。
だけど雲が厚く、時おり雨が落ちてくる。もしかしたら来週いっぱいくらいは、太陽に会えないかもしれないとの予報。ちょうどいいという発想は、自然にないのだろうかね。極端な天気が好きだよなぁ。
今週は水曜日と今日の金曜日に、イレギュラーな予定があった。水曜日は散髪で、今日はマンションの火災報知器の点検。そのせいでいつも水曜日と金曜日に買っている数量制限の特売品をゲットできなかった。
だけどこういうときって、貴重な経験をしていることを忘れがち。ルーティンワークができないことで、イライラすることはある。それはそのことに執着しているから。逆に言えば、他の可能性をシャットアウトしている。
でも普段とちがう状況を受け入れ、それを楽しめるようになると、ちがう世界観が見えてくるもの。これはイライラしている心では、絶対に知覚できない。いつもどおりに行かないことに気持ちがとらわれていると、何も見えなくなってしまうからね。
人間というものは、見ているようで真実を知覚していないことが多い。例えば肩書きに弱い人は多いはず。初対面の人と会うとき、まずは肩書きやプロフィールに意識が向けられてしまう。それは先ほどの買い物の例と同じで、ありのままを見つめることができない状況。
最悪の場合相手の人間性を無視して、肩書きや置かれた状況で判断を下してしまう。出会う前にひとりの人間として交流をしていたら、一生を通じた親友になれたかもしれない。それなのに、肩書きだけで決裂するのはもったいないよね。
そんなことをテーマにした映画を観た。
『ユー・ガット・メール』という1998年のアメリカ映画。絶対に10回以上は観ている作品だけれど、たまにどうしても観たくなる。
久しぶりにめちゃイケメンのトム・ハンクスと、めちゃキュートなメグ・ライアンに会った。やっぱりこの写真のラストシーンでは号泣してしまう。わかっているのに泣いちゃうんだよねぇ。思い出すだけで感動して泣けてくる。
有名な映画なので、説明はいらないよね。この二人は大手の書店経営者と、街の小さな本屋さんの主人。結局小さな書店は閉店に追い込まれるから、肩書きだけで言えば、二人の恋が成立する可能性は限りなくゼロに近い。
でもこの二人は互いの本名も顔を知らないころから、メールの世界で本音を語り合っていた。建前を排除して、顔も知らない人間なのに本音で語り合えることができた。ネットの世界では珍しいことかもしれない。
だからこの二人には、本音で結ばれた強い絆が存在している。互いの素性を知った直後には、肩書きに翻弄されて人間関係が破綻しそうになる。だけどやっぱり深く本音で結ばれているから、互いを求める思いに逆らうことができない。そしてこの写真のシーンにつながっていくんだよね。
映画の世界なので、現実的じゃないかもしれない。でも大切なことは映画も現実も変わらない。本音で結ばれた絆は強い。これは鉄則だと思うなぁ。やっぱりいい映画だわ。こうなると『めぐり逢えたら』がまた観たくなってきた。
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