笑えるということは素敵
今年の神戸は雨の1月17日。毎年意識していないのに、午前5時46分の直前に目が覚める。心のどこかで意識しているのかな?
Twitterでもつぶやいたけれど、六甲の住宅街を歩いているだけで、何度もお坊さんにあった。神戸ではここ数日が命日だという故人が多いのだろうね。
23年も経っているので、遺族の人たちは当時とはちがう悲しみを感じておられるのだろう。それでも辛いことに変わりはないと思う。
今朝の追悼式に出席されたある人のツイートを読んだけれど、年々参加者が減っているとのこと。でもそれは風化を危惧したネガティブなものではなく、その人はポジティブな意見として述べられている。それだけ前を向いて進む人が増えているということだろう。
NHKの朝の連続ドラマの『わろてんか』で、関東大震災の話題があった。物語の舞台は大阪だけれど、日本中の人の沈んだ気持ちを少しでも元気付けるために、主人公たちが寄席で義援金を集めつつ、全力で笑わせるというエピソードがあった。
辛いけれど笑うことは大切。笑うことで元気が出ることもあるし、笑えるということは素敵なことだと思う。以前ブログに書いたけれど、妻の母が亡くなったとき、ボクと妻のあいだに思わず笑ってしまうような出来事があった。
ささいなことだけれど、二人で大笑いしてしまった。それで悲しみや辛さが消えるわけじゃないけれど、ある種のストレス物質が昇華していくのを実感したことがある。笑いほど素敵な魔法はないかもしれないね。
ということで思い切り笑える映画を紹介しよう。
『モネ・ゲーム』(原題: Gambit)という2012年のアメリカ・イギリスの合作コメディ映画。
写真にあるとおり、キャストが素晴らしい。今は亡きボクの大好きなアラン・リックマン。彼に絡むのがコリン・ファースとキャメロン・ディアスの二人組。そこへあの名優のスタンリー・トゥッチが加わることで、最高のコメディになっている。
アランが演じるのはシャバンダーという大富豪のメディア王。コリンが演じるハリーは、彼のもとで美術品の鑑定を請け負っているキュレーターをしている。強欲で傲慢なシャバンダーから大金を巻き上げるために、ハリーがキャメロン演じるPJに持ちかけるという物語。
モネの絵の贋作を利用した詐欺なんだけれど、大どんでん返しがラストにあるので、ネタバレはやめておく。もし観たいと思う人がいれば、知らないほうが楽しめるからね。
とにかくめちゃめちゃ笑った。映画の構成が素晴らしい。最初に理想的な妄想映像を見せつけることで、現実とのギャップに笑いこけてしまう。特にコリン・ファースの演技は、見逃すのがもったいないほど。
どちらかといえば真面目な役が多いコリン。『ラブ・アクチュアリー』や『マンマミーア!』、そして『英国王のスピーチ』でも真面目で誠実な役が多かった。だけどこの映画では、ドジばかりふんでいる。
でも本来の真面目な一面が表情に出るから、かえって笑ってしまう。人間って、真面目な人がずっこける方が面白いものね。そのあたりがうまく演出されていて、コリン・ファースゆえの面白さがあったと思う。
またアラン・リックマンが最高。気難しい顔をさせたら右に出る人はいないよね。コリンとアランの二人のイギリス人名優を、バリバリのアメリカ人であるキャメロン・ディアスが引っかき回すからもう大変。
とにかくシンプルに大笑いできる映画だった。どんでん返しも、最後にうまく決まる。笑えるということは素敵だよね!
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