猫のなかに人間が入ったら
昨日の午後から今朝にかけて、仮想通貨がらみで大きなニュースがかけめぐっている。コインチェックという仮想通貨取引所が、580億円ものNEMという仮想通貨をハッキングによって失った。もちろん顧客の資産を預かっていたもの。
幸いにもボクは別の取引所で口座を持っているので、被害にあっていない。だけど資産を失った人のことを思うと、気の毒で仕方ない。取引所に仮想通貨を置きっぱなしにするのは、金塊を買ってそのまま店舗に預けているのと似ている。強盗に奪われたら、それで消えてしまう。
だけど金塊なら保険があるけれど、今回のコインチェックの場合はそうした補償は難しいだろう。会社側の不手際を指摘する声もあるけれど、おそらく失った資産は戻ってこないと思う。
仮想通貨はウォレットに移して保管するほうがいいとわかっていても、コイン同士の取引をするのに面倒だし、手数料のことも考えたらつい取引所に置いてしまう。他の取引所に仮想通貨を置いている人は、今日になってあわててウォレットへ移しているだろうね。
もっとも大変で気の毒なのは、コインチェックの経営者たちだと思う。悪いのは明らかにハッキングをした連中なのに、マスコミの報道を見ていると、まるでコインチェックが加害者のような扱い。さらにNEMの評判を落とすことで、仮想通貨そのものが危険だという印象を与える報道になっている。
4年前のマウントゴックスのときも、まるでビットコインが悪者ようになってしまったよね。今朝のブログでも書いたけれど、報道する側の立ち位置によって、記事の内容はねじ曲げられてしまう。
結局、人間は他人の立場になってみないと、その人の本当の気持ちがわからないということだろう。まさにそのことを象徴している映画を観た。
『メン・イン・キャット』(原題:Nine Lives)という2016年のフランス・中国の合作映画。といっても、主演はケヴィン・スペイシーで、ジェニファー・ガーナー、クリストファー・ウォーケンというハリウッド俳優が出演している。
新しい映画なのでネタバレしないけれど、簡単に言うと、猫と人間の意識が入れ替わってしまうというコメディ映画。良くありがちなテーマだけれど、他者の意識を経験することで、自分のあやまちに気がつくというもの。この映画の場合の他者は、猫だけれどね〜〜!
作品としては、批評家に酷評されたらしい。まぁたしかに中途半端なCGを使った作品で、ボクが子供のころに観たアメリカのドタバタアニメの実写化、という雰囲気。1800 円を払って観た人は、ちょっとムカつくかもしれないwww
でもボクは、こういう映画が好きなんだよね。それは小説のネタとして観ているから。物語を構成する発想の大元としては、ボクはとてもいいと思った。動物と人間の意識が入れ替わるというモチーフは、やり方によっては素晴らしい映画になるはず。
問題になるのは、どれほど動物の『心』を深く掘り下げることができるかだろう。この映画は、そのあたりが適当だったのかもね。
同じようなテーマの映画は多い。『天使のくれた時間』という映画も、パラレルワールドの自分を経験することで、今の自分に向き合うという作品だった。『フェイスオフ』という映画も、捜査官とテロリストの顔が入れ替わることで、それぞれが相手の立場や考えを知るという作品になっている。
さっきも書いたけれど、人間というのは他者のことは基本的にわからないんだろう。だからこのような映画が、いくつもできるのだと思う。ふざけた映画だけれど、気分転換にはいい映画だよ。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。