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高羽そらさんインタビュー

不平等な民主主義

アメリカのトランプ大統領が就任して一年が過ぎ、2年目の任期へ突入した。相変わらず物議をかもす発言や行動が多いけれど、大幅な法人税の減税を実現させるなど、賞賛に値する政策も具現化させている。

 

選挙のときは民主党のクリントンさんと争ったわけだけれど、トランプ大統領がロシア政府に働きかけて、クリントンさんの私的メールを暴露することで選挙妨害をしたのでは、という疑惑を持たれている。まぁ、それだけ下馬評をくつがえした選挙結果だったからだろう。

 

総得票数では勝利していたクリントンさんは、選挙人制度というアメリカ独自の選挙方法によって破れた印象がある。それだけに民主党の支持者は、モヤモヤした気持ちがくすぶっているのかもしれない。

 

2016年の大統領選挙を見ていて、同じく大もめした選挙を思い出した。2000年の選挙で、共和党のブッシュ氏と民主党のゴア氏が争った選挙。選挙の行方を左右するフロリダの投票で、再投票とするかどうかで大騒ぎになった。

 

まだ記憶に新しい出来事だけれど、アメリカでこの騒動が映画になっている。この作品を見て、当時の民主党関係者の苦悩と落胆が、ボクの想像を超えたものだと知った。

 

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『リカウント アメリカが揺れた36日間』という2008年のアメリカ映画。

 

主演はケヴィン・スペイシーで、ゴア陣営の選挙参謀だったロン・クレインという弁護士を演じている。事実に基づいて作られているので、とてつもない緊迫感を持った映画だった。ドキュメントを見ているようで、つい手に汗握ってしまう。

 

発端は、テレビの選挙速報の数字がまちがっていたこと。フロリダ州の選挙人を奪われたことで敗北会見をしようとしたゴア氏を、ロンが直前で引き止めた。そしてブッシュ氏に電話で行なった敗北宣言を撤回させている。それほどフロリダの集計がずさんだったから。

 

当時はパンチで投票用紙に穴を開ける方式だった。ところがフロリダの投票用紙は見開きになっていて、パンチ穴の位置があいまいだった。年配の人たちには判断がつきにくく、ゴア氏に投票するつもりだったのに、見開きの反対にあるブキャナン氏に投票してしまった人が大勢いた。

 

そこから大騒ぎになる。そもそも州によって微妙に法律がちがうので、集計方法が統一されていない。きっちり穴が開いてなくて、『くぼみ』になっている投票用紙をどうするか? 無効とする州と、それは意思表示だと認める州に分かれている。

 

さらに穴が開いていても、きちんと落ちずに投票用紙の裏にぶら下がっている場合がある。機械で読み取るときにそのぶら下がりが穴をふさぎ、投票されていないとう判定を下される用紙もあった。とにかく無効票が多すぎる状態。

 

大差のついた選挙結果なら、それほど問題にならなかっただろう。だけど2千票以下の僅差だった。だから無効票の扱いしだいでは、ゴア氏の逆転勝利も考えられる。そんなこんなで、『リカウント』、つまり再集計するかどうか大騒ぎになった。

 

この映画を観ていて、投票用紙の不備だけでなく、もっと驚いたことがある。重罪を犯した人には、投票が認められていない。それは理解できるとしても、その人物とよく似た名前の人も、投票する権利を奪われている。それもほとんどが、黒人たちだった。

 

なんの罪も犯していないのに、あいまいな決まりで投票できない人が2万人もいたとのこと。それだけの人の意思をぶっ潰していることになる。これはもはや民主主義ではなく、非道な人種差別であり、不平等社会を象徴しているだけでしかない。マジで驚いた。

 

映画的には民主党よりで作られているので、共和党が悪役にようになっている。だけど問題になっているのはイデオロギーではなく、不適切な選挙システムだということ。当時このニュースをなんとなく見ていたけれど、これほど深い事情があったとは知らなかった。

 

現在は穴埋め式になっているようで、一部では電子投票も導入されている。だから前回の選挙では、投票そのものについて大きな問題となっていない。2000年と同じままのほうが驚くけれどね。

 

とてもスリリングで、見応えのある映画だった。ケヴィン・スペイシーはセクハラ騒ぎでいろいろ大変だけれど、さすがの名演技だった。彼だから、この映画は素晴らしい作品になったと思う。

 

最新の『スターウォーズ 最後のジェダイ』でキラッと光る素敵な演技を見せてくれていたローラ・ダーンも、ちょっと無能なフロリダ州の長官役を見事に演じていた。

 

この選挙の翌年に911のテロが起き、イラク戦争に突入する。そのときの大統領はブッシュ氏。そう思うと、なんだか運命の不思議を感じる作品だった。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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