SOLA TODAY Vol.546
別れというものは、突然やって来る。少しずつなら許容していく心のゆとりを持てるけれど、いきなりだと戸惑うばかり。
そんな別れを経験している人が、最近になって増えている。それはTSUTAYAの閉店。
郊外から東京都心まで……閉店ラッシュの「TSUTAYA」、レンタル実店舗に未来はある?
観たい映画があって、TSUTAYAに向かうと店がない。20代や30代の人にとっては、物心ついたころからあるTSUTAYAがなくなるなんて……。まさに驚き以外の何物でもないだろう。
2017年度だけで、70店舗のTSUTAYAが閉店しているらしい。恵比寿や六本木の旗艦店でさえ閉店に追い込まれている。だから日本全国のどこであっても、いきなり地元のTSUTAYAが閉店するということが起きても不思議じゃない。
その理由は、客観的に考えたらすぐにわかる。NetflixやAmazonプライム・ビデオ等の普及で、オンラインの定額見放題が定着しつつあるから。わざわざ足を運んでTSUTAYAに行かなくても、公開して半年後くらいの新しい映画を観ることができる。
パソコン等のデバイスと自宅のテレビを接続することで、DVDと同じように観られるんだからね。返却の必要もない。品揃えも豊富。どう考えても実店舗が不利なのは明らか。
ボクはJR六甲道駅にあるTSUTAYAを利用しているが、最近の店の雰囲気に異変を感じていた。セルフレジが導入されて、人件費が節約されている。従業員が減ったせいか、店舗内の活気がない。そしてもっとも気になるのが品ぞろえの悪さ。観たい映画を店内のデータベースで検索しても、以前は置いてあった映画がなくなったりしている。
もちろんDVDだけではなく、CDを借りる人も大幅に減っている。ボクもストリーミング配信の定額聴き放題を利用するようになって、TSUTAYAでCDを借りることがなくなった。ボクが通っている店舗も、近いうちに閉店するような予感がしている。
当然と言えば、当然のこと。これが変化というものだろう。ボクの世代は、世の中にビデオがなかった時代を知っている。ビデオの登場とともにレンタルショップが始まり、それがDVDのレンタルに変わった。
そういう変化を目の当たりにしているから、TSUTAYAのようなレンタルショップが消えていくことに、それほど違和感がない。むしろ安く、そして便利になっているんだから、歓迎するべきだろう。
これからのTSUTAYAはどうなっていくのだろう。近年では書店に力を入れている。だけど書店もオワコンだからね。月額1000円で過去作品の借り放題、並びに返却期限無しということをやっているけれど、これもネットの配信には勝てないだろう。
たしかTSUTAYAは、出版社の主婦の友社を買収したよね。ということは本の売り手だけではなく、作り手になっていくつもりなんだろうか? どちらにしても、苦しい業界であることに変わりはない。
聞いたところによると、TSUTAYAの店舗はほとんどがフランチャイズらしい。直営店が少ないということは、ますます閉店する店舗が増えそう。利用者としては、いつ閉店してもいいように心づもりしておくべきかもね。
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