[gtranslate]
高羽そらさんインタビュー

何だろう、この不思議な感覚

今日はマジで暑すぎる。帰り道は上着を脱いで歩いたのに、それでも汗をかいた。どうやら4月下旬ごろの気温らしい。そりゃ暑いわ。

 

その陽気に誘われたのか、こんな花が咲いていた。

 

IMG_4574

 

 

散歩していると、早咲きの桜を発見。ソメイヨシノの木も、つぼみが確実にふくらんでいる。今年の3月は気温が高いので、桜の開花は早いらしい。楽しみだなぁ。

 

ボクは桜の花を見ると、いつも夢の世界を思い出す。明晰夢で桜を見ることが多いからだと思う。桜の花の華やかさは、うたかたの夢のような雰囲気を持っている。きっと楽しめる期間が短いからだろう。

 

ウキウキして、どこか切なくて、そしてなつかしい。桜の花びらを見ていると、そんなことを感じてしまう。とらえどころのない、不思議な感覚を持ってしまう。

 

そんな桜の花を見たときのような、不思議な感覚を覚えた映画がある。

 

w516

 

 

『ニンゲン合格』という1999年の日本映画。写真を見てもわかるように、まだ青年の西島秀俊さんが主人公を演じている。

 

独特な雰囲気のある映画だった。正直言って、あまり好きな空気じゃない。見始めて後悔したけれど、最初に感じた直感を信じてみようと思った。

 

その直感とは、映画の設定が気に入ったこと。主人公の吉井豊は14歳のときに交通事故に遭って昏睡状態だった。ところが10年後の24歳になって突然意識が戻る。簡単に言えば、浦島太郎のようなもの。

 

目が覚めたらソ連という国家はなくなっているし、マイク・タイソンという知らないボクサーが活躍している。この主人公は10代という時代を、空白の期間として過ごすことになる。

 

目が覚めたら両親は離婚していて、妹はアメリカに行ってしまったらしい。実家はポニー牧場を営んでいたけれど、見る影もない。父の友人である藤森という男が自宅の土地で釣り堀を営業している。その藤森を役所広司さんが演じている。

 

病院を退院するとき、藤森が豊に言う。「これから失われたものを取り返さなくてはいけない」

 

だけどずっと眠っていた豊にとって、失ったものが何かはわからない。だから何を取り返していいのか?

 

藤森と二人で暮らし始めた豊は、失ったものが家族だと知る。そこで牧場を再開しようと馬を手に入れる。そして両親を探し、偶然にも妹が見つかる。やがて母と妹と一緒に暮らし始め、あとは父さえ戻ってくればいい状況になる。

 

ところがうまくいかない。母も妹もその家を出てしまう。そのうえ豊は交通事故の加害者と偶然に会う。加害者の室田は同時に被害者でもあった。10年も若者を昏睡させたということは、治療費の負担や社会的責任を負うことになる。

 

室田にしてみれば、ずっと昏睡して欲しかった。それならば自分の苦労も納得できる。だけど元気になって幸せそうに暮らしている豊が許せない。なぜ自分だけ苦しい思いをするのか? そう思った室田は、豊が作った牧場を破壊する。この室田を、先日亡くなった大杉漣さんが演じている。鬼気迫る演技だった。

 

だけど豊にとって、牧場なんてどうでもいい。結局は失った家族を取り戻すことはできなかった。だから自分も一緒になって、牧場を破壊する。見ているこちらの心が凍りそうになる、すさまじいシーンだった。

 

最終的には不慮の事故で、豊は死んでしまう。息を引きとる直前、豊は藤森に向かって言う。「ちゃんと存在した?」

 

なんて切ないセリフだろう。豊にとって戻ってきた世界は悪夢のようなもの。まだ夢を見ていると信じたかったのだろう。人間にとって10代というのはかけがえのない時代。それを失った主人公の想いが、そのセリフに凝縮しているような気がした。

 

どこかとっつきにくい作品だったけれど、最後まで観て良かったと思う。不思議な感覚が心に残る映画だった。

 

decoration/dcr_emoji_238.gif『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。

Diamondo Blog イチオシ芸能ニュースもっと見る

ピックアップブロガーもっと見る


インタビュー特集もっと見る

 

高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

プロフィール画像

高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

プロフィール詳細 »

読者になる

このブログの更新情報が届きます。

高羽そら|たかはそら(作家、小説家)カレンダー

2018年3月
« 2月   4月 »
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

高羽そら|たかはそら(作家、小説家)アーカイブス

高羽そら|たかはそら(作家、小説家)QRコード

ブログモバイル版

高羽そら|たかはそら(作家、小説家)オフィシャルブログ
http://www.diamondblog.jp
/official/sora_takaha/