話し言葉は、心とつながっている
久しぶりに雨模様の神戸。午前中は雲が多いだけだったけれど、午後からはかなりの本降りになっている。
これで今年の桜は完全に終わりだね。また来年に会えるよう、今月を無事に生き延びようwww
お花見シーズンも終わったので、新作の小説に集中している。予定より遅れ気味なので、やや焦りモードで書いている。それでも毎日書くということがどれほど重要かを、今さらながら実感している。
少し行き詰まってくると、ついパソコンに手が伸びなくなる。他の用事を見つけて、忙しいという言い訳を自分にしていることがある。そんなときは、とにかく書きかけのファイルを開いて読み直すこと。
すると不思議なもので、やる気スイッチが入ることが多い。気になる箇所を訂正しているうちに、新しいアイデアが湧き出てくる。それでその先を書き進むことができたりする。立ち止まっていると、結局はそこから一歩も動けなくなるということだよね。
それはどんな人でも同じだと思う。たとえそれが国王でも。そんなことを感じる映画を観た。
『英国王のスピーチ』(原題:The King’s Speech)という2010年のイギリス映画。今日で観るのは二度目だけれど、以前と同じように素晴らしい映画だと思った。吃音というコンプレックスを抱えながら、それを克服するために何度もトライする姿に感動する。
ある程度脚色はされているけれど、ジョージ6世というイギリス国王の実話に基づいて作られた映画。コリン・ファースというイギリス俳優さんは大好きなんだけれど、この映画の彼は最高! この作品でアカデミー主演男優賞を受賞しているのは当然だと思う。
吃音だった国王が、ローグという言語療法士に助けられて克服していくという、二人の友情物語。このローグを演じたジェフリー・ラッシュがいいんだよね。彼が『パイレーツ・オブ・カリビアン』のバルボッサ役だと忘れてしまうほど。
最初に観たときは、吃音を克服することばかりに意識が向いていた。だけど二度目にじっくり観ていると、もっと奥深いものを感じた。
ローグという人物は、ただ単に吃音を直そうとしているのじゃない。吃音になった心理的要因を探り、その部分を明らかにして行こうとしている。これは言語トレーニングの物語ではなく、カウンセリング映画だと思う。話し言葉は、心とつながっているといいうことだよね。
ローグが右利きの国王に、あえて右利きかと尋ねる。すると元は左利きだったけれど、幼いころに矯正されたと話す。そうしたものも、吃音の心理的要因になっていると指摘する。これはボクも実感としてわかるような気がする。
ボクも左利きだけれど、父親にかなり厳しく直された。そして同じように、子供のころは吃音の傾向があった。小学校3年生のころ、となりの家の人に「あなたは何を言っているのかわからない」と言われて傷ついたことがある。
緊張する場面に立たされると、言いたいことが言葉にならない。今でもその癖は残っていて、とにかく早口になる。言おうとすることが言葉にならないことが多い。この映画を観ていて、身につまされるものを感じた。
だから書くことが好きなのかもしれないね。文章で書くほうが、時間をかけて内容をチェックできる。言いたいことは口にするよりも、文字にするほうが伝えやすいように感じている。
久しぶりに観たけれど、いい映画はいつ観ても新しい発見があるね。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。