知識を持つほうが絶対楽しい
どうも季節の進捗が、半月から1ヶ月ほど早まっている気がする。今日の午前中に散歩をしようと玄関を出ると、こんな景色が広がっていた。
神戸大学と六甲山系を背景にして、見事な新緑が広がっていた。感覚的にはゴールデンウイークの始まりくらい。このままだと、来月には梅雨入りするんじゃないだろうかwww マジでそんなことを心配してしまう。
さて、最近は過去に見た映画を見直すことが多いけれど、今日も10年以上は遠ざかっていた映画を観た。
『ラストエンペラー』という1987年のイタリア、中国、そしてイギリスの合作映画。当時はアカデミー賞を独占したので、知っている人は多いはず。
タイトルのとおり、中国最後の皇帝である清の溥儀の人生を描いた作品。清が滅亡したあと、日本軍に担ぎ出されて、満州国の傀儡皇帝となっている。戦後はソ連軍によって拘留され、共産党が支配する新しい中国で思想改造を受け、一般市民として人生を終えている。
公開当時は映画館に行ったし、その後もビデオ等で何度も観ている。だけど今まで観たなかで、今日が最高に面白く、映画の魅力を理解できたと思う。
なぜならここ半年ほどに、中国の近代史に関する本を読んだから。清王朝が辛亥革命で滅び、軍閥政治が台頭し、その後は蒋介石の国民党が一時的に中国を支配する。やがて毛沢東の率いる共産党が新しい中国を再建する。その時代の歴史をじっくりと読み込んだから。
まさにこの映画は、その時代と完璧にリンクする。溥儀が亡くなったは1967年で、文化大革命という血の粛清が行われていたころ。中国の歴史にとって、忘れ難い激動の時代を溥儀は生きたことになる。
以前はなんとなくしか中国の歴史を理解していなかった。だけど今回は知識を持って映画を観ているので、セリフで語られていない部分まで理解することができた。
映画というものは、何も知らない人が観ても楽しめる芸術であることは事実。だけど知識を持っているほうが圧倒的に楽しいのも、これまた重要な事実だと思う。
今日はそのことを痛感した。政治的な部分で理解ができていると、映画の他の部分により意識が向けることができる。だから映像や音楽の美しさまで感じることができた。
こうして見直してみると、あらためてこの映画は名作だと思う。映画の前半は3歳で最後の皇帝となった溥儀が、紫禁城に閉じ込められた生活が中心。外の世界を見たいという、溥儀の願望が物語を進行させている。
だけど映画の後半に入ると、国民党によって紫禁城から追い出される。念願の外の世界だけれど、溥儀にとっての現実は同じだった。日本軍に利用されることで、またもや人間としての自由を奪われてしまう。時代に翻弄されていく彼の人生を観ていると、切なくて辛い。
この映画でピーター・オトゥールが、レジナルド・ジョンソンというイギリス人の家庭教師役で登場する。当然ながら実在の人物で、紫禁城で過ごした日々の体験談を出版しているらしい。すぐに図書館で予約した。
さらに溥儀も、自伝を出版している。これまた予約済み。映画を十分に理解できたので、さらに深くこの時代について知りたい。個人のフィルターがかかっていると思うけれど、この映画の重要な登場人物たちの生の声を聞いてみようと思っている。
こういう勉強は、楽しいから身につくよね。本当の勉強は、こんな風に楽しんで知識を増やしていくべきものだと思う。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。