ベストセラーに共通する秘密
関東は一気に気温が下がったようだけれど、神戸は今日も夏。歩いていると暑くて、シャツを脱いで肌着1枚になりたい気分だった。
でも明日の雨をきっかけにして、平年並みの気温に戻りそうなのでほっとしている。これだけ気温のジェットコースターが続くと、マジで身体がしんどいからね。
昨日に決意して実行に移した、新作小説の主人公の性別変更。今日も着々と進行中。変えなければいけない設定が出てくるけれど、思ったとおりにいい雰囲気になってきた。主人公のキャラが立ってきたような気がする。自画自賛だけれどねw
小説であれ漫画であれ、あるいは音楽や絵画でも、創作に関わる人間は常にベストを尽くしている。結果として売れる売れないが出てくるけれど、全力を出しているのはどの作品も同じ。
だからこそ悩む。どうしたら売れるものを創作できるのか? どうすればベストセラーを出せるのか?
そんな疑問に答えを出そうとした本を読んだ。
『ベストセラーコード:「売れる文章」を見極める驚異のアルゴリズム』ジョディ・アーチャー マシュー・ジョッカーズ 共著という本。
これは、めちゃめちゃ面白い本! あくまでも小説に限定されているけれど、コンピュータを使ってベストセラーの要因を探った研究をまとめたもの。
アメリカで過去にベストセラーとなった500冊を選び、さらにベストセラーとならなかった4500冊の本を加えて、合わせて5000冊の小説を調査している。コンピュータで独自のアルゴリズムを構成して、なぜ500冊がベストセラーになったのかを明らかにしている。
あくまでもコンピュータが読むので、情感は関係ない。どのような単語を多用しているか、主人公がポジティブなセリフを言ったり、落ち込んだりしているか、物語の転換点がどこにあるか、というようなことを分析している。
その結果まだ世にでる前の本でさえ、それがベストセラーになるかどうかを、80パーセント以上の確率で予測できるようになったらしい。すごいよね。
もちろん実際にベストセラーになった500冊をこのコンピュータに判定させると、それらのすべてが90%以上という高い数値を叩き出している。つまりベストセラーとなる本は、コンピュターがそう判断する要件を満たしていることになる。
興味のある人は実際に読んでもらうのが一番。おそらく別の分野でも応用できる技術だと思う。ただしあくまでもアメリカ、つまり英語の小説を対象にした研究なので、日本語の小説にあてはまらない部分は多々あると思う。
さらにベストセラーとして結果を出したものを分析しているので、未来について予測しているわけじゃない。時代が変われば、読まれる小説も変わってくる。これからはこんな小説が売れる、とコンピュータが言ってくれるわけではない。過去の結果に基づいた傾向を数値化しているということ。
それでも人間の心で感じることは、過去も未来もそんなに変わらないはず。どんな時代でも人間は恋をするし、嫉妬したり憎んだりする。そして誰かを愛するだろう。だから根本的なことは変わらないと思う。
この本の最後で、著者は面白いことを考察している。どんな本がベストセラーになるのかわかるということは、コンピュターにベストセラーの物語を書けるかどうかというもの。実際にAIが小説を書いている時代だからね。
でも著者はそんな研究をしたいと思わない、と述べている。なぜなら創作行為は人間に与えられた営みだと考えているから。そんな楽しみを機械に差し出す必要はないということだろうね。ボクもそう思う。こんな楽しいこと人間がやらなくてどうするの、と言いたいよね。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。