サインに気づく人、気づかない人
この時間のボクは、1日で一番ヤバい状態になっている。いい意味ではなく、悪い意味でのヤバいだからね。
いつも決まって午後4時ごろまでは仕事に集中していて、そのあとに夕方のブログを書いている。快適な気候のときでも、脳みそは沸騰している。そのうえこの気温だから、オーバーヒート寸前であることはまちがいない。
この時間になるとよく頭痛に悩まされるんだけれど、根を詰めた末の頭痛なのか、それとも熱中症なのかよくわからない。
う
その頭痛が何を言おうとしている『サイン』なのか理解しないと、取り返しのつかないことになるかもしれない。サインに気づけるか、それとも気づけないか。両者のちがいは想像以上に大きいのかもしれない。
そんなことを感じる映画を観た。
『サイン』という2002年のアメリカ映画。一度観たことがあるんだけれど、すっかり内容を忘れていた。当時はなんだかイマイチの印象だったのに、どうもちがう。とてもよくできた映画だったので、以前のボクは良さを知覚できなかったんだろう。
宇宙人が侵略してくるというSF映画。感覚的には『宇宙戦争』という作品の匂いがする。そしてどことなくホラーの雰囲気もある。
だけどこの映画にSF的な冒険や、ホラー映画のハラハラドキドキを期待するとガッカリする。初見のときのボクはそうだったんだろう。宇宙人は変な奴らだし、めちゃ弱い。ちょっとだけドキドキするけれど、『ゴーン・ガール』のほうがよほど怖いwww
この映画は宇宙人の侵略を借りているだけで、秀逸な人間ドラマとして作られている。その視点でみると、実に素晴らしい作品だった。
主人公のグラハムは元牧師。だけど半年前に妻を交通事故で亡くし、牧師を辞めている。かなり理不尽な交通事故で、グラハムは神を信じることができなくなった。奇跡や神の意思なんて、信用する人間はクソだと思うようになってしまった。このグラハムをメル・ギブソンが演じている。
ところが宇宙人が侵略してくる。ミステリーサークルが現れるだけでなく、UFOが世界中に姿を見せる。宇宙人の目的は人間を食料として調達すること。毒ガスを発して命を奪い、人間を集めて地球を去るつもりだった。弱点は水に弱いこと。怪獣のジャミラみたいなものだね(初代ウルトラマン世代ならわかる!)
結果的にこの一家はピンチに陥る。ところがこの一家を助けたのは、半年前に妻が死ぬときに残した言葉だった。妻は死の間際に、半年後の家族の危機を見たのだろう。
そして娘のボーは、水に対して異常なほどの潔癖を見せ、いくつものコップに分けて水を置く癖があった。そして兄のモーガンは喘息持ちなんだけれど、宇宙人に襲われたときに薬を持っていないくて、発作を起こして気道が閉じてしまう。
だけどそのすべてがあったからこそ、家族は誰一人命を落とすことがなかった。妻の言葉のおかげで宇宙人と闘うことができ、ボーが残した水でトドメを刺すことができた。さらに兄のモーガンは毒ガスを吹きかけられたけれど、気道が閉じていたので死ぬことはなかった。
自分たちは『サイン』を通じて見えない力に守られていた。そのことを痛感したグラハムは、世の中には偶然がないことを知り、神の奇跡を再び信じるようになる。そうして牧師に戻るシーンで映画は終わる。
久しぶりに見直してよかった。この映画のいい部分を知らないままだったから。もうひとつラッキーだったのは、娘のボーを演じたアビゲイル・ブレスリン。『幸せのレシピ』という映画で、いい子役だと思って大好きになった。
成人してからもその才能は消えなくて、いくつもの映画で彼女の名演技に接している。そんな彼女の映画デビュー作がこの『サイン』だった。1996年生まれだから、この映画の撮影のときは5歳くらいかな。子役だけれど、彼女の神秘的な雰囲気がこの映画を最高のものにしていると思う。素敵な女優さんだよね。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。