メンヘラ女のわがままな恋
言っても仕方ないし、何も変わらないけれど、言わずにいられない。
暑い、暑い、暑いぞ〜〜!
今年の夏になって何回くらい『暑い』という言葉を発しただろう? 今になって記録を取っておけばよかったとマジで思う。きっと恐ろしい数になるだろうな。
まだまだ『暑い』という言葉を吐き続ける気温が続くと思う。それでも週間予報を見ていると、今週の土曜日からしばらくは小休止できそう。平年並みの予報を見て涼しいと楽しみになるほどだから、ボクたちが今年の夏の暑さにどれほど調教されているかがわかる。困ったもんだ。
ネットのニュースにも出ていたが、野菜の値段が高騰しているらしい。1日置きにスーパーへ通っているボクも、野菜の高値を実感している。大根なんて、ここ2週間くらいで倍の金額になっている。
こんなクソ暑いときに、めちゃ暑苦しい映画を観た。メンヘラ女が、超わがままな恋をするという物語。冷めた目で見ればそういう作品なんだけれど、俳優さんの演技と監督の演出が素晴らしくて、とても美しい恋愛物語になっている。
『ピアノ・レッスン』(原題:The Piano)という1993年のフランス、ニュージーランド、オーストラリアによる合作映画。
舞台は19世紀のニュージーーランド。エイダは6歳のころに失語症になったが、ピアノが彼女の言葉代わりだった。未婚の母で幼い娘が1人いる。ある日父が勝手に結婚を決めてしまう。それでスコットランドからまだ未開の地であったニュージーランドに娘を連れて二人で移住する。
だが命の次に大切なピアノは、到着した海岸に置き去りするしかない。人手がないといって、新郎のスチュアートは運んでくれなかった。だけどスチュアートの仕事仲間で友人であるベインズは、言葉を持たない彼女の美貌に惹かれる。
それで自分が持っている土地と交換で、そのピアノを手に入れる。交換条件として、エイダのピアノ・レッスンを受けたいというもの。スチュアートはそれで妻が喜ぶのならと、その条件を受け入れる。
でもベインズにピアノを習う気などない。どうにかしてエイダを手に入れたいと思っていた。それでピアノを返してやる代わりに、俺の言いなりになれとエイダに迫る。ここまで見るとベインズはとんでもない男だよね。
ところが当のエイダはベインズに惹かれていく。夫を拒否するのに、ベインズを受けれてしまう。言葉をなくした彼女にとって、初めて真剣になった相手だった。当然ながら、そのことが夫のスチュアートにバレてしまう。
怒り狂った夫は、エイダが二度とピアノを弾けないように、斧で指を切り落とそうとする。さて、彼らの運命やいかに?
結果としてハッピーエンドになる。こんな修羅場しかない物語を、よくここまで感動的な作品に仕上げたと思う。アカデミー賞の主演女優賞、助演女優賞、脚本賞を受賞したのがうなずける内容だった。
この難しいエイダを演じたのがホリー・ハンター。彼女はピアノが弾けるので、吹き替えなして演奏したとのこと。
ボクが知っているホリー・ハンターは『オールウェイズ』という映画で、死んでゴーストになった恋人に守られるドリンダという役のイメージが強い。ボクの大好きな映画で、ゴーストになったリチャード・ドレイファスの演技がめちゃ切ない作品。晩年のオードリー・ヘップバーンが天使役で出演している。
その映画のホリーのイメージが強かったので、『ピアノ・レッスン』のエイダが同じ女優さんだとは信じられなかった。それほど素晴らしい演技だったということだよね。とてもいい映画だった。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。