妻が背負った最後の使命
神戸は台風が通過してから、比較的暑さがやわらいだように思う。湿度は高めながら、今日の最高気温は31度くらい。関東は猛暑日のところが多いそうなので、それに比べたらずいぶんと涼しいと思う。まぁ、涼しいというのは言い過ぎかな。それなりに暑いけれどw
暑いながらも仕事は快調にぶっ飛ばしている。そんなボクのテンションを支えているのは音楽。ここのところイマジン・ドラゴンズというバンドにハマっていて、最新曲がとてもいい。その雰囲気ならきっとすごいビデオクリップになると想像していた。それがついに解禁されたんだよね。
ボクがイマジン・ドラゴンズというバンドを知ったのは最近で、昨年にリリースされた『Thunder』という曲だった。ちょっと変わった曲なんだけれど、映像がめちゃ面白い。まるで映画の『スター・ウォーズ』のような世界観。変な宇宙人がいっぱい出てくる。
それで注目していたとき、同じく今年になって次の曲が出た。『Whatever It Takes』という曲で、完全にボクのハートを射抜いてしまった。なぜなら最近では珍しい『ロック魂』を持っている曲だったから。そしてその映像を見て、完全にノックアウトされた。いい曲だよ。
そして映像を心待ちにしていた最新曲が『Natural』という作品。これも『ロック魂』が詰め込まれた曲なんだけれど、独自の雰囲気がある。もしこの曲を映像化したら、かなりおどろおどろしいものができる。そう思っていた。そして先日、ようやくビデオクリップが完成した。
予想どおりにめちゃホラー! 死霊らしきものがわんさか出てくる。これはもうスティーブン・キングの小説の世界そのもの。いいね、いいね。曲の雰囲気とバッチリ合う。とにかくいい曲でかつ楽しい映像なので、ぜひともご覧あれ。
さて雰囲気がすっかり変わるけれど、とても素敵な映画を観た。
『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』という2016年のアメリカ映画。写真とタイトルでわかるが、暗殺されたJFKの妻であるジャクリーンを描いた物語。そのジャクリーンをナタリー・ポートマンが演じている。
とてもシンプルな作品で、大きな人生ドラマがあるわけじゃない。暗殺直後から大統領の葬儀までが物語として構成されていて、妻の苦悩と決意が描かれている。
目の前で夫を暗殺され、必死でこぼれ落ちようとする脳みそを手で抑えたジャクリーン。普通なら錯乱しても不思議じゃない。だけど幼い子供は二人いるし、ファーストレディとして醜態を晒すわけにいかない。必死で正気を保とうとする彼女の葛藤と苦悩を、ナタリー・ポートマンが鬼気迫る演技で表現していた。
就任してわずか2年で暗殺されている。まだ夫は何も具体的な実績を残していない。それなのに臨時の大統領になったジョンソンにホワイトハウスをすぐに出るように言われる。そこで彼女は夫の威厳を守るため、最後の行動に出る。
それは暗殺されたリンカーンにならった葬儀を行うということ。夫の遺体とともに、ホワイトハウスから国会議事堂まで徒歩で移動するというものだった。世界中の要人が出席するから、警備を考慮するとそんなバカなことはできない。
だけど周囲の反対を押し切って、ジャクリーンはその葬儀を決行する。それは夫のためでもアメリカのためでもなく、自分のためだった。ファーストレディとして最後の使命をまっとうしたい。そんな彼女の切なる想いが、この映画全般に偏在している。
地味だったけれど、とてもいい作品だった。途中でナタリー・ポートマンだということを完全に忘れてしまった。それほど素晴らしい演技だったということだよね。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。