後出しジャンケンじゃないのが凄い
昨日の台風21号で実感したことがある。どうせ台風が来るならど真ん中がいい、ということ。
台風21号は徳島に上陸してから、淡路島を見事に縦断して神戸に再上陸した。昨日のブログにも書いたけれど、完璧な台風の目を経験した。
ところがボクの実感としては、前回の台風20号のほうが風が強かった気がする。同じ台風で風力発電の風車が倒れた淡路島も、昨日の台風では大きな被害が出ていない。
ところが台風の東側にあたる大阪ではとんでもない被害が続出している。台風の進路の東側が風が強い。そのことがモロに証明された気がする。そういえば台風20号は姫路に上陸した。だから台風の規模は21号より小さかったけれど、神戸は前回のほうが強い風に見舞われたということだろう。
そう考えると、ど真ん中のほうが安全なんだね。ただしそれは風だけのこと。高潮による被害は、神戸も避けることができなかった。我が家の近くの六甲アイランドやポートアイランドは、かなり被害が出たらしい。
ただこの歴史的な規模の大型台風にすれば、犠牲者の数は少なかったと思う。これはやはり都会の強みだと思う。人口が多い都会は、都市整備も進んでいるし、災害復旧に関しても動きが早い。完璧じゃないけれど、あれだけの規模の停電が復旧するのは都会だからだと思う。
それは6月の大阪の地震のときにも思った。台風が近づくと列車の運行休止は早めに公表されるし、運転再開も早い。さらにJRだけでなく私鉄も多いから、交通インフラの選択肢が増える。路線バスも充実しているしね。やはりある程度の都会に住むことは、それなりに価値があることだと感じた。
さて今日までは引きこもりだったけれど、明日からまた1日置きの買い物がスタートする。この3日間家にいるあいだ、必死で仕事を追い込んだ。さすがに疲れを感じているけれど、大好きな映画で気分転換した。
『カサブランカ』という1942年のアメリカ映画。この映画と『マルタの鷹』のハンフリー・ボガートは、定期的に観たくなる。ボクは特にこの写真のラストシーンが大好き。
ドイツ軍の手先だと思っていたフランス領のカサブランカ警察署長が、主人公のリックを救うシーン。ナチスの横暴に口を閉ざしたり、迎合したように見せても、心のなかでは常に祖国を思う気持ちがある。そしていざとなったら祖国のために戦う。そんな男の気概を見せてくれるシーン。
有名な映画なので説明はいらないだろう。この映画が素晴らしいのは、1942年に作ったということ。まだナチスドイツは優勢だったし、日本だってアメリカに対抗できる余力があった。
そんな時期に作ったのが凄いと思う。戦後に戦勝国がこんな映画を作ったら、単なる後出しジャンケンになる。だけど戦争に負けるかもしれない時期に公開しているんだからね。
おそらくアメリカを含めた連合国の人たちの、戦意高揚を意図した映画なんだろう。そういう意味ではプロバガンダ映画だと言っていい。この作品が見事な娯楽作品になっているのは、ハンフリー・ボガートとイングリッド・バーグマンのおかげだろうね。
ドイツ軍の将校たちが、リックのバーでドイツの歌を熱唱しているシーンがある。それを見たラズロというレジデンスを指導する人物が、フランス国家の演奏をバンドに指示する。それを店主のリックも認める。
あっという間に店にいた人たちが、フランス国家を絶唱する。見ているこちらも興奮する。そしてドイツ将校たちはすごすごと引き下がる。この映画の本質は、このシーンに圧縮されているんだと思う。それにしてもボギーは、いつ見てもかっこいいよね。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。