私はすでに死んでいる
お昼過ぎまでは大雨警報が出ていたので、午前中の神戸はかなり雨が降った。
だけど昼前には雨があがり、久しぶりに太陽が顔を見せてくれた。秋雨前線がようやく南下したので、一気に秋の風が吹き込んできたらしい。
午前中に湿度は99%まで上昇していたけれど、午後4時現在で65%まで下がっている。ようやく蒸し暑さから解放されそう。
朝のブログを休みつつ仕事を追いかけているけれど、まだ新作小説の初稿があがらない。今週中に初稿を完成させて推敲に入らないとヤバい。でもここにきて秋の空気になるのはかなり助かる。湿度が下がるだけで、かなり集中力が増すはず。
今日もかなり追い込んだけれど、明日は自宅にいるので午前も午後も必死のパッチになるしかない。
さて<自己>という存在について、医学的な見地から大きく踏み込んだ本を読んだ。
『私はすでに死んでいる ゆがんだ<自己>を生みだす脳』アニル・アナンサスワーミ著という本。
『自分』とは、『自我』とは何か?
この問いはスピリチュアルの世界でも投げかけられ続けているものだし、哲学や医学の世界でも研究テーマとして取り上げられている。この本は医学の世界から『自分』について考えている。全部で8つの章に分かれている。
第1章 コタール症候群
第2章 認知症
第3章 身体完全同一性障害
第4章 統合失調症
第5章 離人症
第6章 自閉症スペクトラム障害
第7章 自己像幻視(体外離脱、ドッペルゲンガー、ミニマム・セルフ)
第8章 恍惚てんかん
それぞれの病気について説明するのは無理なので、気になる人はこの本にくわしく書かれている。すべて実例をあげて書かれているので、専門知識がない人でも理解できるようになっている。
この本の著者によると、体外離脱も病気になるらしい。ボクは病気かいなwww
とにかく人間の『自己』や『自我』が、脳で作り上げられたものであることがわかる。脳のある部分が機能しないだけで上記のような病気になり、『自分』がわからなくなってしまう。
だから「私はすでに死んでいる」という言葉が出てくる。死んでいることを自覚している自己が存在するのに、自分を感じられないだけで死んでいると思ってしまう。これはコタール症候群の人の症状。彼らは死んでいると思っているから、自殺しないらしい。
かと思えば、てんかんの症状に「恍惚てんかん」というものがある。これは脳のある部分が発作を起こすことで起きるが、いわゆるワンネス意識を体験するとのこと。宇宙のすべてと繋がった感覚になり、言葉にできない恍惚感に包まれるらしい。
これもある意味『自分』を失っている状態で、仏教的にいえば解脱と同じだろう。だけど悟りではなく、てんかんの症状なんだよね。
この本を読むと、いかに『自我』があいまいでいい加減なものなのかわかる。『自我』というのは、ボクたちが脳を通じて自分だと信じるものをイメージしているだけで、脳の一部が機能しないだけで消えてしまうものを頼りきって生きていることになる。
だとすると自分とはなんだろう? 結局、そこへ行き着くことになる。ブッダやイエスもこの答えを求めようとした。この本を読んでも答えは得られないけれど、自分とは何かについて考えるきっかけを与えてもらえると思う。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。